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炭素数の少ないアルケンからの新粒子生成に関する研究(平成 31年度)
A study on new particle formation from the oxidation of small alkenes

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1821NA001
開始/終了年度
2018~2021年
キーワード(日本語)
二次有機エアロゾル,新粒子生成,アルケンのオゾン酸化,クリーギー中間体,核モード
キーワード(英語)
secondary organic aerosol, new particle formation, ozonolysis of alkenes, criegee intermediate, nucleation mode

研究概要

新粒子生成は、気候の間接効果を見積もるうえで非常に重要なイベントである。炭素数の少ないアルケンのオゾン酸化反応系において既存粒子存在下でも新粒子生成が起こることを最近我々は発見した。この新粒子生成イベントに関する実大気環境条件下でのモデル化の向け、本研究では既存粒子の量(サイズ、表面積)や性質(酸性度)への依存性の調査と、新粒子の核となる化合物の特定を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では、炭素数の少ないアルケンのオゾン酸化反応系において、(1) さまざまな条件下(乾燥系/加湿系、中性シード粒子/酸性シード粒子)での二次有機エアロゾル(SOA)のシード粒子へ取り込まれる分と、競合して起こる新粒子生成分の割合(以降、「新粒子生成と取り込みの競合比」、と呼ぶ)の測定、(2) 新粒子生成に寄与するガス相のHOMs(主に、クリーギー中間体からなるオリゴマーと考えている)の特定、を行う。「炭素数の少ないアルケン」は、大気に放出されているVOCsの中で多い植物起源のイソプレン(C5H8)と、日本における固定発生源別VOC排出量推計で第2位(2015年度)の「燃料(蒸発ガス)」で排出の多い炭素数5と4のアルケンの2-メチル-2-ブテン(C5H10)、trans-2-ブテン(C4H8)を対象とする。一年目にイソプレンの反応系、二年目に2-メチル-2-ブテンの反応系、三年目にtrans-2-ブテンの反応系について調べる。

今年度の研究概要

一年目(研究期間は2018年11月〜2019年11月)の後半として、引き続き、イソプレンのオゾン反応系について、さまざまな条件下(乾燥系/加湿系、中性シード粒子/酸性シード粒子)での新粒子生成と取り込みの競合比の測定を行う。実験は、1 m3のテフロンバッグを用いて行う。イソプレンやオゾンの初期濃度を変え、生成するSOA量を変化させ、「新粒子生成と取り込みの競合比」の変化を測定する。シード粒子として、中性および酸性硫酸アンモニウム粒子を用い、それぞれのSOA収率、「新粒子生成と取り込みの競合比」の違いを評価する。シード粒子のサイズと量の違いによる依存性や湿度依存性について調べる。二年目(研究期間は2019年11月〜2020年11月)には、2-メチルー2-ブテンのオゾン反応系について、同様に調べる。

外部との連携

北海道大学大学院地球環境科学研究院・廣川淳准教授との共同研究

備考

公益財団法人鉄鋼環境基金 環境研究助成 

課題代表者

猪俣 敏

  • 地球システム領域
    地球大気化学研究室
  • 主席研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,化学
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