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上皮間葉転換に着目した妊娠期ヒ素曝露による後発的肝腫瘍増加メカニズムの解析(平成 31年度)
Analysis of mechanism of late-onset increase in hepatic tumor by gestational exposure to arsenic focusing on epithelial mesenchymal transition

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD011
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
ヒ素,妊娠期曝露
キーワード(英語)
arsenic, gestational exposure

研究概要

化学物質曝露が次世代やさらにそれ以降の世代にまで健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているがその詳細はほとんど明らかになっていない。我々は、妊娠期のC3Hマウス(F0)に無機ヒ素を飲水投与すると産まれた仔世代(F1)で対照群と比較して成長後に肝腫瘍が増加する、という実験系を用いて、孫世代(F2)においても成長後に肝腫瘍の発症率が増加することを明らかにした。さらに、妊娠期ヒ素曝露のF1及びF2世代の肝臓から単離した肝細胞は、コラーゲンコートdishに対する接着能が減少するという新規現象を見出した。本研究では、上皮間葉転換(EMT)をキーワードにして、妊娠期ヒ素曝露したF1及びF2世代の肝細胞の接着能低下のメカニズムを解析し、それが妊娠期ヒ素曝露による後発的な肝腫瘍増加メカニズムにどのように関与するのかを明らかにすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、妊娠期ヒ素曝露したF1及びF2マウスの肝臓から星細胞をはじめ各種細胞の単離、培養する手法を確立し、各種細胞の遊走・浸潤能、EMT関連因子の局在、遺伝子発現、タンパク質発現変化、相互作用変化、その変化を制御するメカニズムを経時的に調べ、肝細胞のdishへの接着能減少メカニズムを解析し、それが妊娠期ヒ素曝露による後発的な肝腫瘍増加メカニズムにどのように関与するのかを明らかにする。具体的には以下のようである。
平成30年度
肝臓から星細胞をはじめとした各種細胞を単離、培養する条件を検討し、手法を確立する。
平成31〜32年度
妊娠8日〜18日に85ppmの亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)を飲水投与したC3Hマウス(ヒ素群)及び対照群から、仔世代(F1)、孫世代(F2)を得る。F1及びF2を、特定の時期まで飼育し、前年度で確立した手法により肝臓から肝細胞及び各種細胞を単離する。それらの各種細胞で、EMT関連因子の解析を行う。

今年度の研究概要

今年度は、昨年度から飼育している仔世代 (F1)、孫世代 (F2)のC3Hマウスを特定の時期に解剖し、昨年度に確立した条件で肝細胞及び肝星細胞を単離する。単離した肝細胞及び肝星細胞からRNAを調製し、細胞と細胞基質の結合に関与するMMP、線維化に関与するコラーゲン、炎症が誘導するEMTに深く関連するシグナル伝達経路などに関与する遺伝子の発現を調べる。

課題代表者

鈴木 武博

  • 環境リスク・健康領域
    病態分子解析研究室
  • 主任研究員
  • 工学博士
  • 生物学,生化学
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