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世界を対象としたネットゼロ排出達成のための気候緩和策及び持続可能な開発(令和 2年度)
Global analyses of climate mitigation for achieving net-zero emissions and sustainable development

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2-2002
研究課題コード
2022BA001
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
持続可能性,ネットゼロ排出,気候影響,緩和政策
キーワード(英語)
sustainability,net-zero emission,climate impacts,mitigation policy

研究概要

本研究では「人間社会・生態系の持続可能性を損ねない形でネットゼロ排出を達成するということは、どのような社会を作り、受け入れていくということなのか?」という問いへの答えを、気候政策、気候影響、持続可能性の相互依存関係を考慮した地球規模の持続可能性シナリオの構築を通じて描くことを全体目標として設定する。
そのためにサブテーマ1(気候緩和目標に対応する排出経路分析及び気候影響総合評価)では二つの研究に取り組む。第一に、最新の気候科学(例:炭素循環、気候感度等)ならびに対策研究(ガス別限界削減費用等)を反映した排出経路モデルの改良を行い、気候目標及び社会経済発展経路に対応した排出経路を分析し、後述の気候影響予測ならびにサブテーマ2が取り組む気候政策による持続可能性への波及影響の分析に提供する。
第二に、緩和政策が実施された場合の気候影響について、社会変化・気候変化の不確実性を定量的に考慮した統合影響評価を実施し、複数の評価指標(金銭、人命・健康、公平性等)を用いてその将来像を描出する。そのために、柔軟なシナリオ想定が可能な軽量気候影響予測手法(影響エミュレータ)を開発し、それを一般均衡モデルベースの経済分析枠組みや障害調整生命年(DALY)等の人命・健康の統合分析枠組みに組み込み、気候影響統合分析モデルを構築する。さらに、排出経路モデルと連動して気候影響予測を行う。また、気候影響の経済分析の空間詳細化を通じて地域間公平性の定量分析を行う。なお、開発した評価手法は、社会的炭素費用の推計にも活用する。
サブテーマ2(持続可能性を考慮した気候緩和策の戦略検討)では、CO2 ネットゼロ排出において重要な役割を担う植林と炭素回収貯留付きバイオ燃料(BECCS)に関する諸問題へ答えを出す。植林に関しては、これまでの陸域生物圏モデルが土地利用管理を明示的に扱ってこなかったことから、土地利用管理を明示的に考慮した森林吸収量の推計ができるようなモデル開発を行う。BECCS に関しては、生物多様性保護、農業技術開発、水資源利用可能性などの観点から持続可能性を考慮しつつバイオエネルギー作物の大規模展開の可能性について論じ、食料・水安全保障や生物多様性を脅かさない範囲でネットゼロ排出を実現するために必要な政策・施策を同定する。
環境政策への貢献として、本課題の実施により、気候問題と持続可能性の関係の評価を重視する傾向
にあるIPCC 第6 次評価報告書に向けた研究知見創出の加速化を期待できる。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

サブテーマ1では、第一に、最新の気候科学(例:炭素循環、気候感度等)ならびに対策研究(ガス別限界削減費用等)を反映した排出経路モデルの改良を行い、気候目標及び社会経済発展経路に対応した排出経路を分析し、後述の気候影響予測ならびにサブテーマ2が取り組む気候政策による持続可能性への波及影響の分析に提供する。第二に、緩和政策が実施された場合の気候影響について、社会変化・気候変化の不確実性を定量的に考慮した統合影響評価を実施し、複数の評価指標(金銭、人命・健康、公平性等)を用いてその将来像を描出する。そのために、柔軟なシナリオ想定が可能な軽量気候影響予測手法(影響エミュレータ)を開発し、それを一般均衡モデル(CGE)ベースの経済分析枠組みやDALY等の人命・健康の統合分析枠組みに組み込み、気候影響統合評価モデルを構築する。さらに、排出経路モデルと連動して気候影響予測を行う。また、気候影響の経済分析の空間詳細化を通じて地域間公平性の定量分析を行う。なお、開発した評価手法は、社会的炭素費用の推計にも活用する。また、影響エミュレータについては、サブテーマ2のネットゼロ排出が食料安全保障や生物多様性等に及ぼす波及影響の分析にも活用される。
サブテーマ2では、持続可能性統合評価モデルの開発・利用により、CO2ネットゼロ排出において重要な役割を担う植林とBECCSに関する諸問題へ答えを出す。植林に関しては、これまでの陸域生態系モデルが土地利用管理を明示的に扱ってこなかったことから、土地利用管理を明示的に考慮した森林吸収量の推計に注力する。BECCSに関しては、生物多様性保護、農業技術開発、水資源利用可能性などの観点から持続可能性を考慮しつつバイオエネルギー作物の大規模展開の可能性について論じ、前述の森林吸収量推計もふまえながら、食料・水安全保障や生物多様性を脅かさない範囲でネットゼロ排出を実現するために必要な政策・施策を同定する。例えば、従来考えられてきた単純な炭素税等の経済メカニズムのみを用いた気候緩和政策に加えて、食肉嗜好の変化、食料廃棄物対策、途上国への経済支援、土地利用規制の強化など、社会システム全体を変革していくような施策を検討する。また、ネットゼロ排出に向けた緩和政策の分析手法・結果について、研究期間後期にサブテーマ1の排出経路モデルにも反映し、課題全体の整合性の確保に努める。

今年度の研究概要

サブテーマ1では、既存の全球規模の影響予測研究出力を用いて、影響エミュレータの開発を行う。また、金銭評価に加え、人命・健康、公平性 など複数指標への換算手法を取り入れ気候影響統合評価モデルを開発する。また、排出経路モデルACC2・CLIM4OPTの改良を行い、気候目標に対応した排出経路を分析し、気候影響予測ならびにサブテーマ2での分析に提供する。また、ネットゼロ排出に係る各種議論のコミュニケーションの困難性、ならびに本課題での取組みのあり方について検討する。
サブテーマ2では、植林とBECCSの炭素吸収可能量ならびに大規模展開時の諸問題を論じるための分析枠組(持続可能性統合評価モデル:統合評価モデルAIM/CGE、土地利用モデルAIM/PLUM、生物多様性モデルAIM/BIO、陸域生態系モデルVISIT、水文・水資源モデルH08、作物収量モデルCROVERの連携に基づき構築)の開発・改良を行う。植林については、土地利用変化を考慮した陸域炭素吸収量の推計手法を開発する。また、植林・BECCS両対策に関連して、生物多様性・食料安全保障・水安全保障を損なわない土地利用分布の推定手法を開発する。

備考

サブテーマ1を国立環境研究所が、サブテーマ3を京都大学、立命館大学、森林研究・整備機構、国立環境研究所が担当し、連携して研究を実施する。

課題代表者

高橋 潔

  • 社会環境システム研究センター
  • 副センター長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,工学
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担当者