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グローバルスケールにおける林齢マップの作製に向けた手法の開発(令和 2年度)
Development of a method for global-scale mapping of forest age

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1921CD027
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
林齢マップ,森林攪乱,生態系モデル
キーワード(英語)
forest age map,forest disturbance,ecosystem model

研究概要

これまで、データ取得手法の非一貫性や不均一なデータ分布など既存の林齢データに内在するさまざまな問題のため、グローバルスケールでの 林齢データの広域化は困難だとされていた。本研究ではこの背景を踏まえ、林齢データを利用した直接的な広域化手法ではなく、森林攪乱履歴 ・バイオマスなどの間接的な情報を利用した逆解析手法を開発する。攪乱履歴を考慮した生態系モデルから森林成長を再現し、成長曲線から森 林の誕生年まで回帰することにより林齢を推定する。さらに、本研究で構築したデータセットを用い、森林の成長過程を考慮した新たな陸域炭 素収支の推定を行い、本データが推定に与える影響を評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究を実施するにあたり物質循環モデリングの専門家、リモートセンシングの専門家の共同で研究を進める。攪乱履歴データの構築(テーマ1)は2019年度に重点的に進める。逆解析手法の構築(テーマ2)、グローバル林齢マップの一次プロダクトの作成(テーマ3 )は2020年度までの完了を目指す。2021年度は、既存の林齢マップとの比較・検証を行い、更なるプロダクトの精緻化を進める。また、作成し たグローバル林齢マップを、陸面モデルに組み込み、林齢が炭素収支に与える影響をグローバルスケールで評価する(テーマ4)。 テーマ1 攪乱履歴データの構築:生態系モデルで森林成長過程をシミュレーションするためには攪乱情報をモデルの入力とす る必要がある。まず、複数の衛星による攪乱履歴データ(人為攪乱指数、GFED4.1s火災消失面積)、衛星マイクロ波データから推定した植生バ イオマスの取得・共通処理を実施する。本研究で対象とする森林の被覆は、植生バイオマスとMODIS Land Coverなどの植生被覆データとの比較 を通じ判別する。 テーマ2 モデル最適化による成長曲線の高精度化:攪乱履歴データを生態系モデル(Biome-BGC)の入力データ(大気CO2濃度、気象 データ)に加えることで、攪乱の度合いに応答したバイオマスの回復過程が計算できるようになる。衛星観測による植生バイオマスデータが利 用可能な期間(1993年−2012年)を対象に、バイオマスの年次変化が観測と整合するようにモデルの最適化を行う。 テーマ3 グローバル林齢マップの推定:林齢はバイオマスに対し成長式を回帰させて推定した「成長曲線」から逆算する。精 度の良い回帰を算出するために必要な長期のバイオマスデータ(100年程度)はテーマ2で構築した最適化モデルから計算する。この際、気候イ ンプットデータはCO2排出シナリオに基づいた地球システムモデルの結果(CMIP5)を使用する。シナリオ毎にシミュレーションした長期バイオ マスに対し複数の成長式(Logistic、Mitcherlich式など)を適用し、より精度の高い回帰曲線を算出する将来予測・成長式の組み合わせを判 別する。グローバル林齢マップ(空間解像度0.25°×0.25°)の一次プロダクトを作成し、既存の林齢マップとの比較・精度検証を実施する。 データ間の誤差が顕著な場合はテーマ2に立ち返り、逆解析システムの再構築を検討し修正を行う。 テーマ4 林齢データが炭素収支の推定に与える影響評価:グローバル林齢マップを陸面モデルの制約として用い、林齢が炭素収支に 与える影響をグローバル・亜大陸スケールで評価する。特に、林齢マップを制約とすることで、年間炭素収支量、炭素収支の時空間パターン、 が如何に変化するのか評価する。

今年度の研究概要

攪乱履歴データを生態系モデル(Biome-BGC)の入力データ(大気CO2濃度、気象 データ)に加えることで、攪乱の度合いに応答したバイオマスの回復過程が計算できるようになる。衛星観測による植生バイオマスデータが利 用可能な期間(1993年−2012年)を対象に、バイオマスの年次変化が観測と整合するようにモデルの最適化を行う。

外部との連携

国立研究開発法人海洋研究開発機構・北 極環境変動総合研究センターとの共同研究

課題代表者

近藤 雅征