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近慣性運動に起因する海洋内部の強鉛直混合域が海盆規模の循環と物質分布に及ぼす影響(令和 2年度)
Effects of strong vertical mixing regions in the ocean interior caused by near-inertial motions on the basin scale circulation and material distributions

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1821CD004
開始/終了年度
2018~2021年
キーワード(日本語)
日本海,熱塩循環,化学トレーサー
キーワード(英語)
Japan Sea,thermohaline circulation,chemical tracer

研究概要

海洋中の鉛直混合は全球的な熱塩循環のパターンや強度を規定する重要な因子であるが、空間的に一様ではなく、局所的な強鉛直混合域が偏在している。強鉛直混合域と大循環は一体的な系を成すと考えられるが、両者の関係は明らかではない。本研究では、強鉛直混合域と海盆規模の循環の両方を一体的に調べることのできる日本海をモデル海域として、風に起因する近慣性運動が局所的な強鉛直混合域を形成するメカニズムと、その結果生じたローカルな強鉛直混合域が日本海全体の循環と物質分布を決定する仕組みを解明する。長射程の超音波流速計を用いた係留観測と乱流計測,化学トレーサー分析を組み合わせた現場観測に加え、既存のArgoフロートデータの解析と数値モデル実験から、(1)風起源の近慣性運動が深海に強鉛直混合域を形成する機構、(2)乱流混合と海水特性分布の関係、(3)局所的な強鉛直混合域が日本海全体の循環と物質分布を決定する過程、を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

3つのサブテーマのうち、国環研は「(2)乱流混合と海水特性分布の関係」を担当する。毎年5月及び10月に実施される長崎大学水産学部付属練習船「長崎丸」による実習航海を利用して、大和海盆及び日本海盆における海洋観測を実施する。同航海では、中層1000mから海底直上において50-200m間隔で採水層を設けて、放射性炭素やクロロフロオロカーボン類(通称フロン類)などの化学トレーサーの精密分析を実施し、日本海内部の鉛直拡散係数を高精度に推定する。

今年度の研究概要

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年度中に計画されていた研究航海が中止あるいは延期となった。そこで、前年度までに得られた海水試料の精密分析を進めるとともに、すでに分析が終了した観測データを解析し、両海盆における鉛直拡散係数を算出する。

外部との連携

研究代表者:九州大学・千手智晴准教授

課題代表者

荒巻 能史

  • 地球システム領域
    炭素循環研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学,地学,水産学
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