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令和2年度OECD魚類急性毒性試験法の改訂に係る検討業務(令和 2年度)
Study on revision of OECD fish, acute toxicity testing

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
2021MA001
開始/終了年度
2020~2021年
キーワード(日本語)
OECD Test Guideline No. 203,メダカ,瀕死
キーワード(英語)
OECD Test Guideline No. 203, Oryzias latipes, moribundity

研究概要

本業務は、化審法の下、活用されている生態毒性試験法のうち、令和元年6月にOECD で改訂された「魚類急性毒性試験(Guideline for the Testing of Chemicals No. 203: Fish, Acute Toxicity Test)」について、改訂内容の適用性検証をメダカ(Oryzias latipes)について行うとともに、その結果のOECD WNT等での発表やWNT等での検討事項への対応等を行い、さらに、WNTでの決定事項に関して事業者やGLP試験機関への周知等のためのセミナーや意見交換会等を行うことを目的としている。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

?症状観察の統一化を目指し、明確な診断基準の確立と再現性について検証すること、?改定法案で挙げられている瀕死症状例を検証することが課題となる。また、Moribund症状の抽出では、?Moribund症状をエンドポイントとする上で必要不可欠である個体識別法を用いた対象症状と死とのリンクづけが必要となる。さらに、?体サイズに伴う感受性変動の検証では、体サイズごとの感受性検証が必要である。これらの事項については、本業務で実験的な検討等を行い、その結果は、?最終的にOECD WNT等への提案事案としてとりまとめることとなる。そのため、提案事案係る内容は科学的な根拠に基づく必要があり、専門家へのヒアリング等を行い、結果の精度を確保する。

今年度の研究概要

? メダカにおけるMoribund症例の観察
Moribund症状となりうる症状の確定については、皮下色素注入法、インプラント法、タグ法などの個体識別法が必要となり、これらのうちいずれかの手法を用いて、対象となる症状が死に直結するかの検証が必要となる。これらの検証は、瀕死(Moribund)症状をエンドポイントとする上で必要不可欠であるものの、国内外を含めて十分行われておらず、現在これらの課題に対し、日本を含めた関係国への貢献が求められている。
1つの個体識別手法を用い、OECD TG203に基づいて3被験物質(医薬品や農薬等:環境省担当官と協議の上決定する)のメダカ急性毒性試験を実施する。観察される個体毎の形態及び行動の異常項目を抽出し、環境省担当官と協議してMoribundの定義(症状の不可逆性やその症状が観察されてから死に到るまでの時間など)や基準(症状の程度など)の検証を行うとともに、瀕死症状(致死に直結する症状)を導出する。また、Moribundの定義および基準策定には、毒性症状に関する国内外での知見や試験機関での取り扱い等の情報が必要と考えられるが、国立環境研究所では、これまで毒性症状に関して試験機関へのアンケートの実施、国外での取り扱い等の情報を収集した経験がある。一部は既に化審法セミナー等で報告しており、これらの情報をMoribundの定義や基準策定に有効活用する。

? GLP適合試験施設への症例観察の支援と観察されたデータ解析
 症状観察の統一化を目的に、症状の画像データの整備および観察・記録のための技術支援を行う。本業務では、本年度に加え、平成30-31年度に実施された「OECD魚類急性毒性試験法の改訂に係る検討業務」で抽出された症状及び、国立環境研究所において、これまで実施した毒性症状に関する試験機関へのアンケート結果を整理するとともに、症状の映像データ化に着手する。また、症状の観察・記録法についてのガイダンス文書を作成する。
 結果については、環境省が魚類急性毒性試験の適合性を確認した8施設に対し提供する。

? QSAR手法、FET試験と魚類急性毒性試験の比較検討
これまで、FET試験とTG203の比較を行った論文は多数あるが、2つの結果が相関しない物質も多くある。本業務では、構造や作用機作の違いに着目した被験物質の選定とそれらを用いたFET試験とTG203の比較実験を行う。
 被験物質の選定は、既に魚類急性毒性試験(メダカ)が実施され、その毒性値が知られおり、かつ構造や作用機作が異なるものから行い、その中から10物質程度(環境省担当官と相談の上決定)について、ゼブラフィッシュを用いたFET試験およびQSARによる毒性値予測を行い、Range-finding試験への適用性について検証する。

? メダカの体サイズに関する感受性変動の検証
OECD TG203: 2019版では、試験魚(メダカ)の使用基準が全長1-2 cm(juvenile)とされた。本業務では、性未分化の供試魚使用を確実にするため、メダカ(Oryzias latipes)の齢と全長に対する性成熟についてフェノタイプ(オス個体における乳頭状小突起の形成)及び解剖学的知見(二次性徴の有無:精巣または卵巣の成熟)に基づいた検証を行う。また、稚魚期後半から性成熟前(全長2.0 cm)までの複数サイズ間の感受性比較を毒性作用の異なる3物質(環境省担当官と協議の上決定する)について行うとともに、文献調査結果(平成31年度業務)との比較検証を行う。

? OECD/WNTへの専門家の派遣
現在、VMG-ecoやWNTにおいては、魚類急性毒性試験(OECD TG203)を含めたその他の試験法や用いられるエンドポイントなどについて、より人道的な試験法への改訂に向けた議論がなされている。特にOECD TG203については、改訂案は提出されているものの、致死症状の診断基準の検証や個体識別法は確立されておらず、現在これらの課題に対し、日本を含めた関係国への貢献が求められている。
 本業務において得られた、Moribundをエンドポイントとしたメダカ急性毒性試験の知見については、令和2年4月および10月にパリで開催されるそれぞれWNT及びVMG-ecoへ専門家を派遣し報告する。専門家は、生態毒性に関する経験や実績があり、当該会議への出席経験のある山本裕史(国立環境研究所環境リスク・健康研究センター副センター長)を予定。

関連する研究課題

課題代表者

山本 裕史

  • 環境リスク・健康研究センター
  • 副センター長
  • Ph.D.
  • 化学,土木工学,生物学
portrait

担当者