- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) JPMEERF20183002
- 研究課題コード
- 1810BA001
- 開始/終了年度
- 2018~2020年
- キーワード(日本語)
- 遮断型最終処分場,特別管理廃棄物,重金属類,数値埋立工学モデル,安全性評価
- キーワード(英語)
- strictly controlled landfill,specially controlled waste,heavy metals,numerical landfill engineering model,safety assessment
研究概要
遮断型最終処分場に埋め立てられた焼却灰や汚泥、その固型化体に含まれる重金属類について、100年程度の期間に生ずる処分場内での形態変化、ガスや水を介しての施設外への移行フラックス、人間生活圏への到達濃度を数値埋立工学モデルで予測することで、導入した多重安全技術のレベルと将来起こりうる天災による破壊などのイベントに対応した遮断型最終処分場の環境安全性を評価する。本研究では、1)数値埋立工学による長期安全性評価、2)処分場内における重金属類等の長期動態の評価、3)人工および天然バリアにおける物質移動の評価に関するサブテーマを設定する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
所与の施設の立地、廃棄物の質と量、適用技術という条件下にある遮断型処分場について、100年スケールで生ずる施設構造劣化などの緩慢な変動と、人為また自然による急激な変動に対応して、人間生活圏への重金属類の到達濃度を予測可能な数値埋立工学モデルを構築し、長期的な隔離の機能維持をより確固とするため施設に必要十分な多重安全技術と、遮断型最終処分場の構造、維持管理ならびに廃止に関する技術上の基準を設定するための具体的な方法を示す。サブテーマ1は数値埋立工学モデルを構築・運用する主体である。また、遮断型最終処分場の現状の調査、変動シナリオの設定、固型化技術の評価、生物学的過程の評価を行って、数値埋立工学モデルに設定条件とパラメータを与える。サブテーマ2は所与の環境下にある処分場内の廃棄物について、重金属の溶出ポテンシャルの経時変化を加速試験によって把握し、溶出平衡定数および溶出速度を数値埋立工学モデルに与える。サブテーマ3は劣化段階にある施設構造体、人工バリアならびに自然バリア内における重金属類の移行パラメータを、文献調査ならび実験により把握し、数値埋立工学モデルに与える。
今年度の研究概要
遮断型最終処分場における代表的な施設の立地、廃棄物の質と量、用いられている技術と、人為変動ならびに自然変動のシナリオを物質の収脱着や形態変化および化学平衡と多孔質内気液二相流を連成した数値埋立工学モデルを構築し、施設に水が侵入した場合に有害物質が外界へ移行するフラックスと人間生活圏への到達濃度を求める。
そのために、遮断型最終処分場の鉄筋コンクリートが中性化、塩害及び、硫酸塩劣化によって強度低下する過程を表現するための化学反応解析と、強度低下した遮断型最終処分場に地震等の外荷重が作用したときの構造安定性を評価するための地震応答解析を、数値埋立工学モデルに取り入れる。さらに、溶出抑制対策として、特別管理廃棄物をコンクリート固型化したときの溶出速度を実験的に評価し、また生物学的過程による重金属類等の化学形態変化への寄与を明らかにする。これらとサブテーマ2と3から得られた条件ならびにパラメータをモデルに反映する。加えて、地震等の自然変動、掘削など人為変動、設備の経年劣化など、100年程度で生ずる変動のシナリオを設定する。
遮断型最終処分場に埋め立てられた廃棄物等に含まれる重金属類について、100年程度の期間内における溶出性の変化を明らかにする。処分場内で想定される環境を、より強く発現させる風化加速試験を、廃棄物およびその処理物について実施して溶出平衡定数および溶出速度を導出し、施設構造が破綻しても急激な放出リスクを低減しうる溶出抑制対策と望ましい処分場内雰囲気の制御方法を示す。
各劣化段階にある施設構造物、施設外における人工バリア(ベントナイト層や改良地盤)ならびに天然バリア(自然地層)のおける重金属類の移行パラメータを求める。放射性廃棄物埋設処分の安全性評価で用いられている情報を参照するとともに、カラム通水試験等によりパラメータの不足部分を補完する。
外部との連携
分担研究者(サブテーマ2):東條安匡(北海道大学)