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2021年4月19日

受賞のお知らせ ~
岡村和幸主任研究員が(一社)日本衛生学会より若手優秀発表賞の口演賞を受賞

概要

受賞者氏名: 岡村 和幸(環境リスク・健康研究センター)
賞の名称:  若手優秀発表賞 口演賞
授賞機関:  一般社団法人 日本衛生学会
受賞年月日: 2021年03月07日
受賞対象:  無機ヒ素曝露によるヒト肝星細胞の細胞老化誘導に酸化ストレスは寄与しない,第91回日本衛生学会学術総会, 同予稿集 , 150,2021

ひとこと

天然の環境化学物質である無機ヒ素を長期間摂取することで発癌がおこります。私は発癌のメカニズムとして細胞老化に着目して研究を行っています。これまで無機ヒ素曝露が誘導する肝臓の発癌において、肝星細胞の細胞老化が関与している可能性を検討してきました。 本発表では無機ヒ素が肝星細胞の細胞老化を誘導するメカニズムとして酸化ストレスの関与を検討しました。酸化ストレスは無機ヒ素が引き起こす毒性の主要なメカニズムとして知られているのですが、本研究で検討した細胞では酸化ストレス応答によって増加することが知られている遺伝子の発現増加は顕著におきますが、様々な方法で酸化ストレスを誘導する原因である活性酸素種を測定しても活性酸素種の増加は観察されませんでした。従って、酸化ストレス応答によって誘導されたと考えられた遺伝子の発現増加は酸化ストレス以外のメカニズムによって誘導され、無機ヒ素曝露による肝星細胞の細胞老化誘導には酸化ストレスは寄与しないことを明らかにしました。 この受賞を励みにメカニズムに基づいた研究を続け、身のまわりの環境がヒトに及ぼす影響を明らかにし、ヒトの健康を守ることに少しでも貢献して行きたいと考えています。