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「夏の大公開」 開催報告

【研究所行事紹介】

一般公開実行委員会事務局

7月25日(土),国立環境研究所は「夏の大公開」を開催しました。本イベントは,多くの方々に環境問題・環境についての研究に関心を持っていただくため,毎年開催しているものです。来所された皆様の要望事項に応え,夏休み中のお子様にも参加いただけるよう,開催時期を6月から7月へ変更し,今年で6年目を迎えました。子供から大人まで,多くの方々が環境問題について楽しく理解できるよう工夫を凝らし,スタッフ435名,公開施設14施設と,全所をあげて取り組みました。その結果,大変暑い日だったにもかかわらず,3,379名もの方々に足を運んでいただき,盛況に開催することができました。

 夏の大公開のメインテーマは「さあ,エコハカセたちに会いに行こう!」。現場を支える研究者個人にフォーカスを当ててポスターやプログラムを作成しました。当日は地球温暖化,ゴミ・リサイクル,大気や水の汚染,化学物質による健康影響など,様々な研究分野の“エコハカセ”たちが環境問題の「なぜ?」にお答えしました。普段はご覧いただけない施設の公開,講演会,展示,体験イベントなどの多様な企画により,来場者の皆様には研究所の職員・研究者がどんなことをしているのか,環境問題の科学的な側面について楽しくご理解いただけたと思います。

 

当日配布されるプログラム (キャンパス内各所で様々な講演・展示・体験イベント等を実施)
さぁ、自分のDNAを見てみよう!
細胞の世界をのぞいてみよう。

 2020年の温室効果ガス排出量など,温暖化問題に関するタイムリーな話題を提供する「ココが知りたい温暖化」講演会では,フリーディスカッションの時間を設けるなど,市民の皆様とのコミュニケーションの促進を試みました。また,家電の解体実験,水の汚れを分離する体験イベント,いのちの始まりに関する展示,生物多様性に関する話題など新作の展示も充実させました。

 ところで,毎年大好評のこのイベントですが,車で来所される方々も多く,昨年は来所車両が1,000台を超える状況でした。所内の駐車場は職員用のものをすべて提供しても約400台分しか確保できないため,公開時間の9時30分から16時までの6時間30分で,2.5回も車を総入れ替えしたことになります。つくばの中でも決して広くはない研究所内が歩行者で混雑するなか,自動車との交錯による安全上の懸念もありました。今やつくばでも有数の公開となった本イベントにおける安全確保の観点から,自動車の安全な誘導は実行委員会でも大いに議論されました。

 そこで,今年はこれまでの車での来所者の動向を踏まえ,チラシやポスター,ホームページにおいて,来所時の公共交通機関利用を強力に呼びかけました。ご存じのとおり,つくばの公共交通機関の利便性は良くありませんので,バス等で来所いただけるよう,いくつか新たな試みを行いました。具体的には,(1)産業技術総合研究所と共同で運行するTXつくば駅からの無料循環バスの増発,(2)つくば市内のコミュニティーバス「つくバス」を最大限活用するため,無料循環バスに乗り継ぐことを想定した「つくバス利用券」の発行,(3)JR常磐線方面からの来所者に対する利便性の向上及び竹園・並木方面からのバス利用の促進を期待した新たな「環境研号」の運行です。これに呼応して,つくば市との協力,TX車内での広告などの新たな取り組み強化を行いました。

 来所者総数も昨年に比べて減少したため,自動車来所者の抑制だけが起きたと言えるわけではありませんが,来所車両が昨年比で25%程減少し,ピーク時の車両数も約3割減少し,所内の自動車混雑は大幅に緩和されました。自動車による来所を抑制するというこの社会実験の効果は今後検証していく予定です。

 上記の呼びかけによる駐車数の減少を見込んで,これまで来所者と自動車が交錯して危険な場所の一つと考えられていた地球温暖化棟北側駐車場を駐車規制し,新たなイベントスペースとして利用できました。このスペースではこれまではできなかった将来の自動車交通に関係する展示やデモンストレーションを行いました。

 研究所としては,「夏の大公開」をはじめとして,各種の取組を通じて多くの方に環境問題をより身近なものとして向き合っていただき,当研究所の活動についてご理解いただけるよう,研究成果をより解りやすくお伝えしていく努力を続けて参ります。