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生態学モデルに基づく生態リスク評価・管理に関する研究(平成 28年度)
Ecological risk assessment and management based on ecological models

予算区分
AA 課題解決型
研究課題コード
1620AA043
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
生態学モデル,生態リスク評価・管理
キーワード(英語)
Ecological model,Ecological risk assessment and management

研究概要

化学物質等の人為的環境かく乱要因による生態リスクを効果的に管理するためには、人為的環境かく乱要因と生物群集構成の因果関係を把握する必要がある。本プロジェクトは、化学物質等の様々な環境かく乱要因による生態系への影響を評価し、うち人為的環境かく乱要因に着目した効果的な対策を講じる基礎とするための生態学的数理・統計モデルを構築することを目的とする。河川等における野外調査により得られるデータや文献情報等に基づき、環境かく乱要因と生物群集構造の間の因果関係を推定する。様々な環境かく乱要因に対する生態系の反応を解析するために生態系モデルを構築する。種多様性の維持機構を解明するために群集モデルを構築する。生態系・群集モデルにより、生態系保全のために重要な種やプロセスの絞り込みと保全対策の効果の予測を行う。環境かく乱要因と生物群集構造の因果関係における不確実性を考慮した最適な管理施策の選定手法を開発する。

本課題は2つのサブテーマからなる。
サブテーマ1:環境かく乱要因と生物群集の因果関係の推定と最適管理に関する研究
化学物質等の環境かく乱要因と生物群集構成に関するデータをフィールド調査や文献等から収集し、環境かく乱要因が生物の機能形質の構成に与える影響を推定する。因果関係の不確実性を考慮した最適な管理施策を選定するための理論的手法を構築する。
サブテーマ2:環境かく乱要因に対する生態系影響の予測に関する研究
物質循環プロセスを導入した生態系の数理モデルを構築し、様々な環境かく乱要因に対する生態系の反応を予測する。また、群集モデルにより種多様性の維持機構を解明する。

以上により、環境かく乱要因の中で人為的かく乱要因に的確に注目した生態リスクの評価に結びつける。また、これまで生態リスクとしての扱いが不十分な陸上生態系への将来のリスク管理に向けて方法論の構築を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

1年目 河川調査により底生動物群集のデータを収集する。物質循環プロセスを導入した基盤的な生態系モデルを構築する。サラワク州集落保存林で樹木多様性データを収集する。生物群集の中立性検定を開発する。
2年目 化学物質が機能形質の構成に与える影響を推定する。生態系の構成要素や各パラメータの調整を行い、生態系モデルを高度化する。決定論的要因を含めた種多様性維持機構を解明するための群集モデルを開発する。
3年目 河川調査データに基づき因果構造を推定する。生態系の数理モデルを用いて環境撹乱に対する生態系の反応を解析する。フィールドデータによる多様性維持機構を解明する群集モデルの検証と改良を行う。
4年目 化学物質の影響を組み込んだ新たな生態系モデルを構築する。種多様性の動態を予測するモデルを開発する。
5年目 生態系・群集モデルにより、生態系保全のために重要な生物種群やプロセスの候補をあげる。因果関係の不確実性を考慮した最適な管理施策の選定手法を開発する。

今年度の研究概要

(1)環境かく乱要因と生物群集の因果関係の推定と最適管理に関する研究
河川におけるフィールド調査と文献調査を実施し、化学物質濃度と生物群集構造の間の因果関係を推定するための予備的解析を行う。

(2)環境かく乱要因に対する生態系影響の予測に関する研究
陸上生態系と河川生態系をつなげる物質循環プロセスを含んだ基盤的な生態系モデルを構築する。種多様性維持機構の解明を目的として、マレーシア・サラワク州において熱帯樹木の多様性調査を実施しするとともに、生物群集の中立性検定の開発を行う。


課題代表者

横溝 裕行

  • 環境リスク・健康領域
    リスク管理戦略研究室
  • 主幹研究員
  • 博士 (理学)
  • 生物学
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担当者