- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1618CD002
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 国際貿易
- キーワード(英語)
- trade network
研究概要
レアメタルは、日本の経済発展に重要な資源であるが、その供給は少数の資源国に集中し、日本を含む消費国経済は、資源リスクに晒されている。現在のレアメタル貿易の分析では、2つの問題がある。1つは、価格変動幅が大きいため、貿易額データでは取引されている金属の量が把握しにくいことである。もう一つは、データが加工中間物同士の貿易情報を多く含み、鉱石から最終製品までの元素の流れを追うことが難しいことである。本研究では、レアメタルの貿易額データを物量データへ変換し、各金属元素ごとに国際貿易ネットワークの構造を推定する。さらに、抽出した貿易構造と物量をもとに、シナリオごとの将来推計を行う。これにより、将来推計の枠組を確立するともに、物量ベースでみた将来像を提示する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本研究では、レアメタル国際フローのネットワークモデルを開発することを目的として、(1)世界各国の物量ベースでのレアメタル貿易データの作成、および(2)貿易データに対する物量および貿易構造、それぞれの時系列ネットワーク分析、の2つのステップで研究を実施する。(1)データ作成については、研究協力者と共同研究を行い、レアメタルの国際サプライチェーンとマテリアルフローの手法を応用し、貿易統計の1次データをレアメタルの重量に換算するためのデータ収集を行う。(2)時系列ネットワーク分析については、申請者が統計解析分野で遂行してきたネットワークモデル研究の経験をもとに、分析用データへの加工および時系列ネットワーク分析を行う。
今年度の研究概要
本研究の基盤となる貿易時系列の構造分解および時系列予測のための手法開発を行う。
産業連関表の構造分解法として用いてきた、双対平坦構造に基づく直交分解法を応用し、レアメタルの輸出入データを、物量と、231の国・地域間を結ぶ231x231のネットワーク構造行列に分解する。従来、輸入または輸出の、片方のみの産業シェアに着目して分析・予測がされてきたが、本手法では輸入・輸出の両方で基準化することにより、両方同時にみることができる。また、直交分解のため、物量(規模)と構造(ネットワーク)を個別に推計することを可能とする。
これまで取り出せなかった基本構造を時系列化できるため、構造予測が可能となる。
分解によって得られた物量・構造のそれぞれについて、時系列解析を行う。物量時系列については、gravity modelを物量推計に応用した手法やネットワーク時間発展モデルを応用した手法を用いて、18年間の物量変化の性質を分析する。ネットワーク構造行列の推計には、直交分解法と回帰を組み合わせた外挿法を開発して適用する。双対平坦構造に基づく手法は、分解の逆変換である、合成も可能であるため、推定した物量とネットワーク構造を合成して、新たな貿易推計データを作成することが可能である。
- 関連する研究課題