- 研究課題コード
- 2123TZ002
- 開始/終了年度
- 2021~2023年
- キーワード(日本語)
- サプライチェーン,マテリアルフロー
- キーワード(英語)
- Supply chain,Material flow
研究概要
鉱物資源のサプライチェーンの背後には、ストライキ発生による鉱山の操業停止や、自然災害による輸送ルートの寸断、資源ナショナリズムによる鉱石輸出禁止政策など、鉱物資源の供給障害の直接的・間接的な要因となり得る様々なリスク要因が潜在している。またサプライチェーンのグローバル化に伴い、人権、労働、環境、文化に関連する社会問題が顕在化してきたことから、CSR(Corporate Social Responsibility)、ESG(Environment, Social and Governance)投資や持続可能な開発(SDGs, Sustainable Development Goals)に対する関心が高まっている。そのため、資源サプライチェーンに内在する直接的あるいは間接的に供給制約となり得るリスク要因を踏まえた戦略的な資源管理が重要な課題となっている。
本プロジェクトでは,我が国が創出・牽引する革新的科学技術を直接・間接に支える鉱物資源に関わる多様なリスクを最小にするための情報共有プラットフォームの構築・運用を目指す。そのため、以下の4つの成果を創出する。(国立環境研究所では、主に下記3)を担当する。)
1)衛星画像解析による鉱山周辺で起こるリスク要因情報の整理・接続ならびに、潜在的にリスクをはらむ採掘活動の早期発見手法の構築
2)マルチメディア情報を用いた鉱物資源利用のリスクになりうる事象の抽出方法の確立
3)サプライチェーンを通じた鉱物資源のフロー解析手法の開発、フローの可視化
4)1−3を統合するプラットフォーム(リソースロジスティクス解析システム)の開発
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:
全体計画
本格研究においては、抽出対象とするリスク情報や解析対象とする資源の種類を拡大してシステム設計・運用を目指すが、探索研究期間においては、対象とする鉱種を絞り、事例研究を通じて以下の4つの目標達成を目指し、我が国が生み出す革新的科学技術を直接・間接に支える鉱物資源に関わる多様なリスクを最小にするための情報共有プラットフォームの構築・運用を目指す。
目標1:衛星画像解析による鉱山周辺で起こるリスク要因情報の整理・接続ならびに、潜在的にリスクをはらむ採掘活動の早期発見手法の構築 (衛星画像解析Gr.)
目標2:マルチメディア情報を用いた鉱物資源利用のリスクになりうる事象の抽出方法の確立 (マルチメディア情報処理Gr.)
目標3:サプライチェーンを通じた鉱物資源のフロー解析手法の開発、フローの可視化(マテリアルフロー/サプライチェーン分析(MFA/SC) Gr.)
目標4:目標1−3で生み出す成果を統合するプラットフォーム(リソースロジスティクス解析システム)の開発 (総括・リソースロジスティクス解析システム (総括・RL Gr.)
目標として挙げた4つの項目について、各1グループで課題解決にあたり、適宜Gr間で課題・情報共有を行いつつ、研究を進めるものとする。
国立環境研究所は、MFA/SC Gr.として目標3の達成を目指して、C-1. 革新技術を支える資源・素材の国内マテリアルフロー・サプライチェーン解析 (Cu, Ni, P), C-2.稀少資源・戦略資源の国際サプライチェーン解析(Cu, Ni, P, Au)、C-3. 隠れたリスク懸念がフローに与える影響解析(Au)に取り組む。初年度は、解析用の基礎データの整備に取り組み、次年度以降は事例分析と共に他鉱種への適用の拡大を検討する。
今年度の研究概要
金・銅・ニッケル・リンの4鉱種を対象として、権益情報を付与した国別・鉱山別の生産情報と国・地域間の貿易情報の整備、及び生産・貿易構造の可視化に取り組む。このために、a. 鉱山別の権益情報の精査と欠損情報の補完、b. 権益情報の加工(鉱山・採掘事業ごとの生産量の国別権益内訳の推計、及び権益保有国ごとの採掘国別生産量の鉱山・採掘事業内訳の推計)、そして、c. 権益情報を付与した国・鉱山別の生産量及び国・地域間の貿易量(鉱山内訳が付与された貿易量)の整備に取り組む。
外部との連携
代表者:松八重一代(東北大学大学院環境科学研究科)
連携:東北大学大学院環境科学研究科、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、東京大学大学院情報理工学系研究科、東京大学大学院工学系研究科、立命館大学 理工学部
- 関連する研究課題
- 25969 : PJ1_物質フローの重要転換経路の探究と社会的順応策の設計
- 25563 : 資源循環分野(ア先見的・先端的な基礎研究)