- 研究課題コード
- 2222AN001
- 開始/終了年度
- 2022~2022年
- キーワード(日本語)
- 窒素循環,プラネタリバウンダリ,一酸化二窒素,生物地球化学モデル
- キーワード(英語)
- Nitrogen cycle,Planetary boundary,Nitrous oxide,Biogeochemical model
研究概要
農耕や工業活動によって地球の窒素循環は大きく乱されており、大気中で温室効果ガスであるN2Oは増加を続けている。しかし、窒素循環は複雑であり、プラネタリバウンダリの設定やN2O放出の推定方法など、科学的に残された問題は多い。本課題では、陸域モデルによる全球長期シミュレーションに基づいて窒素循環の変化を詳細に分析し、プラネタリバウンダリの再検討やN2O 収支評価に資する知見を提供することを目的とする。陸域物質循環モデルVISITにより、最新の気候変化や土地利用のデータを用いて、反応性窒素循環を全球スケールで再現する。プラネタリバウンダリのうち最も切迫度が高いとされる窒素循環の自然状態からの逸脱度を詳しく解析する。特に一酸化二窒素収支(N2O)の再現度を高めるためのモデル改良を行う。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
陸域生態系モデルを用いて、反応性窒素循環(植生・土壌中の有機態・無機態窒素、それらの間のフロー、大気・水域との交換)を全球スケールでシミュレートする。その結果を用いてプラネタリバウンダリの指標となる要素を抽出する。N2O交換の推定について大気観測との整合性を検証する。
今年度の研究概要
陸域生態系モデルVISITを用い、1901〜2019年についてIPCC AR6で使用される最新の土地利用や肥料データなどを使用し、空間分解能0.5度(もしくは0.25度)でシミュレーションを実施する。地表でのN2O交換については観測との整合性に基づく検証と全球河川水質データベースを使った河川窒素負荷との検証を行い、不整合部分のモデル改良を進める。窒素投入に関する感度実験や将来予測実験などを行い、特に鋭敏な応答が見られた要素を抽出し、プラネタリバウンダリ指標と比較検討する。
課題代表者
伊藤 昭彦
担当者
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仁科 一哉地球システム領域