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統合的な試験と評価のアプローチによる新医薬品の環境リスク評価フレームワークの開発に関する研究(令和 4年度)
Study on development of framework for environmental risk assessment of new pharmaceuticals by integrated approaches to testing and assessment (IATA)

研究課題コード
2224KE001
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
ヒト用医薬品,生態毒性,統合的アプローチ
キーワード(英語)
Human pharmaceuticals,Ecotoxicity,Integrated Approach

研究概要

まず最新の環境モニタリングの結果と環境動態パラメータの相関関係について詳細に解析し、環境動態予測モデルの精度を評価する。実測値と予測値の乖離が大きい医薬品については、プロドラッグの活性化や変化物など、その代謝物あるいは分解物を検索することにより、環境中での代謝や分解の可能性を想定した検出実態に適合した環境中動態の予測手法の改良へ向けた道筋をつける。
また、国内環境で検出頻度が高い医薬品については、薬効・化学構造なども考慮した生態毒性試験データを取得しデータギャップを埋めるとともに、ハイスループット性が高く事業者がデータを取得しやすいin vitro試験の適用可能性の検討も含めて、評価に適切な試験系の選択に資する知見を得る。
さらに、医薬品の作用機序と感受性の高い生物種の関係を整理することにより、ヒト用医薬品の総合的な環境リスク評価系の構築へ向けて、in silico予測手法の適用範囲の精緻化を行う。リスク評価の事例研究を通して、ガイダンスの改訂に関してin silico手法の適用性を検討する。国内外の、食品関連物質などヒト用医薬品以外を含めた様々な環境影響評価の諸制度との比較も行い、現在の国内ガイダンスの改訂へ向けた課題の整理を行い、in vitro試験を含めた効率的な毒性試験実施とin silico手法を取り入れた総合的な評価フレームワークの提案を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

研究開発項目1:ヒト用医薬品の環境動態予測手法の高度化(小林)
生産量・処方量などの環境排出パラメータや、物理化学的物性パラメータを収集し、河川水を中心とした環境モニタリングデータとこれらの物性パラメータとの相関関係について解析を行う。また、環境動態予測モデルの適用による河川水中濃度の予測精度を評価し、予測値との乖離が大きい医薬品に関しては代謝や分解による生成物の探索を行うことにより、検出実態に合致した環境中動態の予測手法の検討を行う。

研究開発項目2:効率的な試験戦略に基づくヒト用医薬品の生態毒性試験の実施(山本)
工業化学物質や農薬などの評価に一般的な藻類生長阻害試験やミジンコ繁殖試験、胚(仔魚短期)毒性試験もしくはニジマスエラ細胞株毒性試験を実施してヒト用医薬品について生態毒性データの拡充をはかり、従来の慢性試験であるもののデータ数が少ない魚類初期生活段階試験結果との比較を行う。また、効率的な試験実施のため、薬効(作用機序)や化学構造に着目して、特に有害性が高いと考えられる生物種の試験を優先的に実施する。

研究開発項目3:ヒト用医薬品の総合的な環境リスク評価系構築および研究統括(山田)
医薬品の生態毒性データベースの更新と、薬効その他関連情報の収集を行い、医薬品機序と感受性の高い生物種の関係の解析に基づき、ガイダンスの改訂に関してin silico予測手法の適用性を検討する。実測値および予測値を取り入れた環境リスク評価の事例研究を実施する。また研究代表者として、本研究開発事業の進捗管理と調整を行う。事例研究の検討結果および分担研究者との共同作業により、欧米の医薬品環境影響評価ガイドラインや国内法の環境影響評価の諸制度と比較しつつ、現在の国内ガイダンスの改訂すべき点の整理などの取りまとめを行う。

今年度の研究概要

効率的な試験戦略に基づくヒト用医薬品の生態毒性試験の実施を担当し、当該年度は、これまでに確立した毒性データベースや、QSARやアナログアプローチなどのin silico手法の適用性を考慮して、検出頻度が高いものの生態毒性データが存在しないヒト用医薬品5種程度を選定する。これらの物質を対象に、工業化学物質や農薬などの評価に一般的な藻類生長阻害試験やミジンコ繁殖試験、胚仔魚短期毒性試験について、薬効(作用機序)や化学構造に着目して、特に有害性が高いと考えられる生物種の試験を優先的に実施し、データベースの拡充に貢献する。また、5物質程度についてより短期の胚期毒性試験結果 との比較を開始し、ニジマスエラ細胞株毒性試験系の立ち上げや予備試験を行う。

外部との連携

研究代表者:山田隆志(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者:小林憲弘(国立医薬品食品衛生研究所)

関連する研究課題

課題代表者

山本 裕史

  • 環境リスク・健康領域
  • 領域長
  • Ph.D.
  • 化学,生物学,土木工学
portrait

担当者