ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

GCOM-C/SGLIによる植物プランクトン群集組成および新生産を介した海洋物質動態の時空間変動評価(令和 4年度)
Effects of phytoplankton community composition and new production on nitrogen and carbon dynamics: A GCOM-C/SGLI perspective

研究課題コード
2222KZ003
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
衛星,新生産,硝酸塩,植物プランクトン
キーワード(英語)
Satellite,New Production,Nitrate,Phytoplankton

研究概要

地球温暖化を始めとする気候変動は海洋の炭素・窒素循環へも影響を及ぼすことが示唆されている。国立環境研究所では北海道大学とともに北太平洋域での貨物船観測を通じて海洋表層における植物プランクトン群集組成の地理的・季節的分布および海洋物理・化学環境の把握に努めてきた。本課題提案は従来の船舶観測による評価に加えて、人工衛星に搭載された海色センサ(GCOM-C/SGLI)によって広範囲にわたる植物プランクトンの群集組成および新生産(大気・深層から供給される栄養塩による生産)の時空間分布を推定・評価することを狙いとしている。本課題遂行により低次生態系の変化が海洋物質動態に与える影響を明らかにすることが期待できる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本課題ではこれまで蓄積してきた現場データと新たに取得するデータを活用し、GCOM-C/SGLI研究プロダクトである植物プランクトン群集組成や新生産量の北太平洋域における適合性・推定精度を評価するとともに、推定アルゴリズムの最適化を目指す。
本課題では従来法の4倍以上のサンプル処理能を有する超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)法による高い時空間解像度の植物色素データを用いることでSGLIとの検証頻度を最大化し、詳細な検証・誤差評価を実施する。SGLI新生産量推定アルゴリズムの検証においては、海水試料から得た高確度・高精度の硝酸塩濃度に加え、紫外線吸収スペクトル型硝酸塩計の連続データを使用することで、SGLIとの比較・検証頻度の最大化を目指す。また、協力商船の観測ではカバーできない観測項目(分光放射計等)は、研究船でSGLIプロダクト検証用データを取得する。UHPLC法による植物色素分析は、本課題で取得したサンプルに加え、EO-RA2等の先行課題と同様、他PIが取得したサンプルの分析も担当することでGCOM-C/SGLIプロジェクト全体で利活用できる体制を整える。また、推定・検証を行なったSGLI新生産量と植物プランクトン群集組成の季節・経年変動を調べるとともに、SGLIとMODIS等から推定した同プロダクトを比較することで、複数センサーデータを活用したエルニーニョ現象などに対する長期的な応答についても評価を行う。

今年度の研究概要

全体計画に示した計画を達成するため、今年度は以下の項目に取り組む。

R4(2022):検証データ分析、手法開発
• 北太平洋における現場データの収集・分析(通年)
• SGLIプロダクト検証用UHPLC植物色素データの分析(通年)
• 既存現場データ(クロロフィルa濃度、水温、硝酸塩濃度)による新生産推定アルゴリズムの検証・改良(通年)
• 既存現場データと同期したSGLIプロダクト(2018-2021)の特定・整備(通年)
• SGLIプロダクト検証用AOP観測(新青丸5月@オホーツク海)

外部との連携

北海道大学、JAXA、NASA

関連する研究課題

課題代表者

高尾 信太郎

  • 地球システム領域
    大気・海洋モニタリング推進室
  • 主任研究員
  • 博士(環境科学)
  • 生物学,物理学
portrait