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信頼されるAIシステムを実現するための因果探索基盤技術の確立と応用(令和 4年度)
Causal discovery and its applications for reliable AI

研究課題コード
2228TA001
開始/終了年度
2022~2028年
キーワード(日本語)
因果推論,遺伝子発現,毒性試験
キーワード(英語)
causal inference,gene expression,toxicity test

研究概要

AIの説明性や公平性を評価し担保するためには、データだけでなく領域知識も利用する必要がある。統計的因果推論は、領域知識とデータを組み合わせて、因果関係に基づく仕組みの理解や意思決定を支援する方法論である。そのため、機械学習と統計的因果推論の境界領域の研究がAI分野において活発に行われるようになってきている。本研究課題では、政策、環境学、予防医学、臨床医学という高度な信頼性が求められる領域について、各領域で必要とされるレベルで因果探索に関する方法論的課題の解決を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

様々な化学物質の曝露が引き起こす遺伝子発現変化のデータセットを得るために、魚類(Danio rerio,Oryzias latipes)や甲殻類(Daphnia magna)などのモデル生物を用いた一連の生態毒性試験を多様な作用機序を有する化学物質について行い、それらのデータから各化学物質の生態毒性の因果経路を統計的に同定する手法を開発する。その際に、遺伝子発現ネットワークにおける因果経路の特性を踏まえて、未観測共通要因や局所的なフィードバックループ構造が想定される場合への対処を検討する。また、異なる化学物質から得られた因果経路の類似性の評価基準を構築し、因果経路の類似した化学物質群の生態毒性の強さや種類(魚類致死毒性、魚類繁殖阻害毒性など)を、一括的に推定する手法の開発にも取り組む。

今年度の研究概要

研究初年度となる今年度は、本格的な研究展開に向けての基礎となる、生態毒性試験での遺伝子発現変化のデータセットを得るための手法の確立と予備的なデータ解析を行う。具体的には、p-アニシジンなどの工業化学物質を対象に、生態毒性分野におけるモデル生物であるメダカ(Oryzias latipes)を用いた魚類初期生活段階毒性試験(OECDテストガイドライン210)などを実施し、生存個体の網羅的な遺伝子発現解析(RNA-Seq)を行う。

外部との連携

本研究は、JST CRESTの研究課題「信頼されるAIシステムを実現するための因果探索基盤技術の確立と応用」(研究代表者:滋賀大学・大学院データサイエンス研究科・教授 清水昌平)における研究分担者として参画・実施するものである。

関連する研究課題

課題代表者

林 岳彦

  • 社会システム領域
    経済・政策研究室
  • 主幹研究員
  • 理学博士
  • 生物学
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担当者