- 研究課題コード
- 2023CD002
- 開始/終了年度
- 2020~2023年
- キーワード(日本語)
- 高解像度モデル,水蒸気,オゾン,ODS,成層圏
- キーワード(英語)
- high resolution model,water vapor,ozone,ODS,stratosphere
研究概要
水蒸気や、フロン等のオゾン層破壊物質の成層圏大気への輸送は、オゾン層破壊や温暖化に影響を及ぼす点で重要である。水蒸気やオゾン層破壊物質の対流圏から成層圏への輸送過程およびオゾンの成層圏から対流圏への輸送過程を、高解像度の化学モデルを開発しシミュレーションを行うことによって理解する。そのために、日本で独自に開発され、高解像度化が容易なNICAMモデルを鉛直方向に成層圏まで拡張し、オゾンとオゾンに関連する数種類の大気微量成分の化学過程を簡略化した形で導入し、シミュレーションを行う。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
2020年度:NICAMモデルの整備およびMIROC6モデルの整備
2021年度:チャップマン反応を導入したNICAMモデルの実行と検証およびMIROC6モデルとの比較。
2022年度:NICAMモデルの成層圏水蒸気量の解析およびオゾンの成層圏から対流圏へのフラックスの解析。MIROC6モデルとの比較。
2023年度:N2O, CFC, ハロン、Cly、Bry分布のNICAMモデルとMIROC6モデルとの比較。
今年度の研究概要
上部成層圏(〜高度50km)までを含んだNICAMモデル(水平解像度140kmおよび50km程度、鉛直解像度1km〜0.5km程度)を走らせて、その水蒸気量の鉛直分布(特に成層圏内の水蒸気量)の検証を行う。また、MIROC6化学気候モデルに導入しパラメータ調整を行った簡略化したオゾン光化学過程を、MIROC6と同様に放射過程と相互作用する形でNICAMモデルへ導入する。CFC11やCFC12等のオゾン層破壊物質(ODS)の導入も行い、OD
Sの濃度変化によってオゾン分布が影響を受けるようにモデル化を行う。
NICAMモデルの特に成層圏部分の気温、東西風速、オゾン分布、水蒸気分布の季節変動を検証し、MIROCモデルとの比較を行って、モデルを高解像度化することによる、あるいはパラメタリゼーションの違いによる、成層圏と対流圏の間のオゾンや水蒸気の輸送に関する改善点を見いだす。