- 研究課題コード
- 2226BB003
- 開始/終了年度
- 2022~2026年
- キーワード(日本語)
- 森林生態系,温室効果ガス,炭素収支,気候変動,モニタリング,CO2 フラックス
- キーワード(英語)
- Forest Ecosystem,Green House Gases,Carbon Balance,Climate Change,Monitoring,CO2 flux
研究概要
地球規模の気候変動に起因する極端な気象現象の多発は、森林では台風害や乾燥害などの攪乱による枯死の増大を通じ、炭素吸収量に大きな影響を与える。このような、攪乱に伴う森林炭素吸収量の変化とその機序および影響の評価は、今後の日本の森林管理における気候変動適応策の実施に不可欠である。そこで、既存のタワーフラックス観測網の強化に加え、可搬型観測システムを開発し機動的な観測を行い、さらに攪乱リスク評価モデルを結合することにより、攪乱−炭素吸収影響評価の一元化を行う。得られた攪乱リスク情報と高精度メッシュ森林情報をリンクさせることによって森林攪乱による炭素吸収変動マップの構築を行う。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本課題では国内は北海道から九州まで計10地点の森林観測サイトで観測網を構築する。これに加え可搬型観測システムを用い攪乱発生後の森林に、新たに3点程度を移動サイトとしてCO2フラックス、および放射環境、温湿度、風速、などのCO2フラックスを規定する環境因子の測定を実施する。気象因子の変動によって発生する攪乱リスク(気象害:風害、冠雪害、乾燥害、林野火災)に関しては、サイトのデータと、現在森林総合研究所で開発が進行している気象害発生予測モデルを用いて各種気象害の発生リスク評価を行う。また、既存サイト3か所における過去の攪乱データから攪乱にともなう炭素吸収量の変動影響の評価を行う。直接的な気象因子依存性のない病虫害(マツ枯れ、ナラ枯れ)に関しては、こちらも森林総合研究所において開発が進行している各病虫害の分布拡大予測モデルをサイトのデータと共に用いて病虫害発生リスク評価を行う。過去に大規模攪乱を経験したサイト(札幌、山城)においては過去データを用いた攪乱評価モデルの検証を行い実際に起きた攪乱の再現および影響の評価を行う。これらの攪乱−炭素損失推定モデルを地上−衛星データによる空間気象データで広域化し、衛星森林情報と組み合わせることによって森林攪乱に伴うポテンシャル炭素損失リスクマップの構築を行う。
国立環境研究所においては、2006年に観測を開始した森林生態系の長期観測拠点である富士北麓フラックス観測サイトと2004年に台風による大規模自然撹乱を受けた苫小牧フラックスリサーチサイトにおいて長期観測を実施する。
今年度の研究概要
富士北麓フラックス観測サイトと苫小牧フラックスリサーチサイトにおいて、安定化および精緻化された日本広域の乱流変動法によるタワー観測によるCO2吸収量モニタリング体制を継続しつつ、並行して森林被害を引き起こす様々な環境因子に関して発生の可能性や被害度を推定するリスク評価モデルに適応した環境因子測定体制を再構築する。
外部との連携
森林研究・整備機構 森林総合研究所(課題代表機関)、産業技術総合研究所
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