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魚類急性毒性試験の動物福祉に配慮した試験への転換に向けた研究(令和 5年度)
The study for establishing a new fish acute toxicity test concerning animal welfare

研究課題コード
2326BE001
開始/終了年度
2023~2026年
キーワード(日本語)
魚類急性毒性試験,動物福祉
キーワード(英語)
fish acute toxicity test,animal welfare

研究概要

本研究では、魚類急性毒性試験の動物福祉に配慮した試験への転換を目的にI.「致死の代替として瀕死(Moribund)を採用することで安楽死を適用させる、試験魚の苦痛削減を目的とした試み」と、動物福祉に合致した代替試験として、II.「OECDに承認されている魚類胚毒性試験(FET)やニジマス鰓細胞試験を活用する試み」との2つの方向から研究を進める。I.に関しては、これまで欧州を中心に複数回OECDに提案されてきたが、科学的知見に基づく瀕死基準がないこと、症状診断の客観性や再現性に課題が残ることから採択には至っていない。II.については、代替試験のLC50値が魚類急性毒性試験のものと高い相関を示す一方で、例外も多く存在することから、代替試験としての活用には適用範囲の検証が課題となっている。I.及びII.の研究を通して、症状診断による安楽死導入と代替試験との併用による、動物福祉に配慮した新たな魚類急性毒性試験手法を提案する。
 I.では、以下1.〜3.への取り組みを通して、瀕死をエンドポイントとする魚類急性毒性試験法の国内法導入を見据えた安楽死マニュアルを作成する。1. 先行研究においてDeath/Clinical sign比(D/C比:症状が死に移行する割合)に基づき決定した3つの瀕死症状をエンドポイントとして採用したケーススタディーでは、実際に安楽死を適用できる個体は少ない。本研究では、安楽死の適用個体数の拡大を目的に、D/C比に基づく瀕死基準の緩和や瀕死以外の症状への安楽死適用可能性の検証を行う(サブ1)。2. 瀕死症状は魚種ごとに異なることから、世界の試験魚種の動向を考慮し、ゼブラフィッシュにおいてもメダカと同様にD/C比に基づく瀕死症状を提案する(サブ2)。3. 症状診断の客観性と再現性の課題への取り組みとして、機械学習を用いた客観的症状診断手法の開発を行う(サブ3)。II.では、代替試験の適用範囲の検証が課題となっていることから、FET試験やニジマス鰓細胞試験の適用が不適切な物質の整理ならびに問題点の抽出を行うことで、代替試験の適用範囲や活用法に関する指針を作成する(サブ1, 2)。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

サブテーマ1:
令和5年度
•個別飼育水槽を用いた魚類急性毒性試験を先行研究で選定した10物質について実施し、症状の記録動画を用いた症状の推移と致死移行時間の算出を行う。
•代替試験の適用範囲の明確化を目的に、ニジマス鰓細胞試験を、選定した30物質中10物質について実施する。
令和6年度
•ケーススタディーとして、安楽死の適用を実施した場合のLC50値と現行法でのLC50値との比較検証を実施し、適用可能性について検証する。
•ニジマス鰓細胞試験を残り20物質中10物質について実施する。
令和7年度
•ニジマス鰓細胞試験を残りの10物質について実施し、適用範囲の検証を行う。
•安楽死の適用となる瀕死症状の提案に加え、瀕死以外の症状への安楽死適用法、客観的症状診断手法などを盛り込んだ安楽死導入マニュアルを作成する。また、FET試験及びニジマス鰓細胞試験の適用範囲ならびに活用法についての指針を作成する。

サブテーマ2:
令和5年度
•ゼブラフィッシュを対象とした「症状と致死との関連付け」を、メダカで選定した10物質中5物質について行う。
•メダカで選定した30物質のうち15物質についてOECD TG236に準拠したゼブラフィッシュFET試験を実施する(既存データを収集し、試験データのない物質については試験実施する)。
令和6年度
•症状と致死との関連付けを残りの5物質について行い、D/C比を算出するとともに、D/C比に基づく瀕死症状を提案する。
•FET試験を残りの15物質について実施する。
令和7年度
•ケーススタディーとして、安楽死の適用を実施した場合のLC50値と現行法でのLC50値との比較検証を実施することで、適用可能性の検証を実施する。

サブテーマ3
令和5年度
•メダカの動きに関する特徴的な症状を抽出するため、ビデオカメラ2台(現有)による3次元観察を行う。
令和6年度
•前年度の3次元観察について、高速度カメラを用いて詳細な情報を取得する。メダカの加速度変化や遊泳軌跡の特徴的波数(周期性)などについて、多変量解析ソフトウェアを用いた統計解析を行う。
令和7年度
•前年度に引き続き、魚類の行動異常を高速度カメラ映像の多変量解析により抽出する。得られた結果から、機械学習に適用可能な指標を確立すとともに、予測精度の高いモデルを構築することで客観的症状診断手法を確立する。





今年度の研究概要

 FET試験やニジマス鰓細胞試験の代替試験としての活用を見据えた検証について、作用機序、物性、構造特性など様々な観点から合計30物質を選定し、OECD TG203に準拠した魚類急性毒性試験(メダカおよびゼブラフィッシュ)に加え、OECD TG236とOECD TG249に準拠したFET試験ならびにニジマス鰓細胞試験をそれぞれ実施する。
 ゼブラフィッシュを対象に、メダカで用いた個別飼育試験法で(図2)、「症状と致死との関連付け」を行い、Death/Clinical sign比(D/C比:症状が致死に移行する割合)の算出を行うとともに、D/C比を基準とした瀕死症状の提案を行う。
 遊泳方向と遊泳速度の観点から症状を定量化し、この数値をインプットとし、症状名をアウトプットとすることで(機械学習:教師あり学習)予測精度の高いモデルを構築する。

外部との連携

国立大学法人筑波大学医学医療系 准教授:小林麻己人(makobayash@md.tsukuba.ac.jp)
国立大学法人鳥取大学工学部 准教授:中井唱(nakai@tottori-u.ac.jp)
国立大学法人神戸大学内海域環境教育研究センター:堀江好文(horie@people.kobe-u.ac.jp)

関連する研究課題
  • : 環境リスク・健康分野(イ政策対応研究)

課題代表者

山岸 隆博

  • 環境リスク・健康領域
    環境リスク科学研究推進室
  • 主任研究員
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担当者