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科学の目で見る生物多様性
- 空の目とミクロの目

環境儀 NO.37

竹中明夫/河地正伸/小熊宏之
今、何を守る努力が必要か、そして具体的にどうしたら守れるのかをデータにもとづいて示すことが国立環境研究所がなすべきことだと考えています。

 地球上では、今、多くの生き物や生態系が存続の危機に瀕しています。農業や都市化をはじめとする土地利用による生息地の破壊や、生物資源の乱獲、さらには交通・運搬システムなどを介した意図的・非意図的な生物の長距離の移動などが大きな原因です。日本を含め、多くの国々が遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性など様々な観点から生物多様性を守るため、条約を締結して保全に乗り出しています。今年は「国連生物多様性年」という記念の年にあたり、さらに、10月に名古屋市で、「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」も開催されます。これを機に、生物多様性の重要性、環境への配慮に関する意識が高まると期待されています。

 国立環境研究所では、前身の国立公害研究所からの改称、組織変更とともに、自然環境の保全をその任務のひとつと位置づけました。現在、生物圏環境研究領域のほか、地球環境研究センター、環境リスク研究センター、アジア自然共生研究グループ、研究基盤ラボラトリーなど、いくつもの研究ユニットで生物多様性の保全にかかわる研究を進めています。

 今回は、ミクロの目でせまる藻類の多様性の世界や、空からの撮影というマクロの目で迫る湿地生態系の空間的な構造の把握などの研究成果を紹介します。