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アジア地域の持続可能な都市システムと廃棄物管理に関する研究拠点形成(平成 27年度)
Design of research hub for sustainable urban system and waste management

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ042
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
アジア連携,持続可能性,災害環境研究,研究拠点,人材育成,廃棄物
キーワード(英語)
Asian collaboration, Sustainability, Research on disaster environment, Center of excellence,, Capacity development, Waste

研究概要

アジア地域においては、都市の拡大に対して廃棄物管理の発展が追いつかず、廃棄物管理由来の環境問題が深刻化する状況にある。不適切な廃棄物管理の代表例としては、野焼き、オープンダンピング、手工業的な資源回収などが挙げられ、こうした活動に伴う健康被害や人命の損失など、最低限の公衆衛生さえ確保しきれていない現状が指摘されている。また、昨年タイで発生した水害においても廃棄物管理は大きな問題となり、都市化の進行と防災対策の遅れのひずみが、問題を増幅させていることは明らかである。都市廃棄物問題には、文化や気候の影響を強く受ける地域特異性が反映される反面、共通の問題発生構造や近隣地域での類似性もあることから、各都市・地域で個別の課題解決に向けた知見や経験の共有により、迅速かつ効率的に地域課題の解決策を提示することが期待される。また、都市の将来計画の立案においても、他都市の取組事例(失敗事例も含む)や社会システム評価の蓄積を元に、社会の実情にあった選択肢の発信が可能になると考えられる。以上のように、社会で研究者コミュニティが求められている科学的知見や成果の発信を支援するクラスタの形成を、本研究拠点形成の第一義に置く。あわせて次世代の研究者育成とその早期からのネットワーク化を図る。その目的は、循環・廃棄物分野におけるアジア地域の多様な人材を発掘・育成することで、分散かつ限定された各国の研究者からの発信力を強化することで社会に貢献することにある。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

キングモンクット工科大学との埋立処分に関する共同研究や、タイ水害への支援を目的とした現地への職員派遣による水害廃棄物管理方策への助言やセミナーの開催を実施した実績を踏まえ、これらの研究テーマを中核とした研究拠点形成を進める。すなわち、NIES所属の研究者とアジア地域の研究者の間の、共同研究の促進、ならびに研究成果の政策や現地制度へのアウトプットを促進するとともに、ワークショップ形式での実践的な研究シーズとリソースのマッチングを通じて、研究の連携的実施ならびに多国間ネットワークでの知識と情報共有のためのプラットフォームを構築する。その持続性を高め、より実態やニーズに近い研究アウトプットを行うため、各国の主要都市および地方都市が必要とする科学的知見を提供するデータベースシステムを構築する。また、参画研究者の指導する学生および研究生の指導・教育・研修などの各種機会を設け、人材育成と国や所属機関を超えた横断的ネットワークの構築をすすめる。短・中期でのNIESでの受け入れによる研修や、NIES研究者が国外で実施している共同研究への一部参画など、柔軟な人材受け入れによる研究促進ならびに活性化をはかる。

今年度の研究概要

1.個別研究遂行の包括的な支援及び研究推進の事務局機能
(1)主に準好気性埋立地および人工湿地の研究における現場での観測・調査を円滑にすすめるための資機材・試料・データの集約基地として活用する。
(2)東南アジア中規模都市の災害廃棄物管理計画策定のための外部研究助成を受け、タイ・バンコク、アユタヤおよび、ベトナム・フエにて研究活動を実施し、共同研究者らとの意見交換、情報共有のためのワークショップを開催する。
(3)NIES研究者とアジア地域の研究者の間で実践的な研究シーズと提供可能なリソースのマッチングを行い、新規国際環境研究の立ち上げ(廃棄物の熱処理・エネルギー回収技術の現地化を想定)を支援する。
(4)分散型排水処理技術(浄化槽を含む)のアジア途上国での普及と適切な浄化槽の性能評価実施のためのシステム形成、制度整備支援を行い、関連する域内の専門家・企業・自治体らとのネットワークを形成する。
2.アジア都市の廃棄物管理に関する情報集積と発信
(1)アジア都市の廃棄物管理に関する統計、施設、取組事例や地域の研究者による成果に関する情報基盤(データベース)を整備し、ホームページを設立する。
(2)各国の主要都市および地方都市が必要とする学術的な面からの支援に対し、研究者情報(シーズ・成果含む)にアクセス可能なインターフェース(Webリソース等)を提供する。同じく、IPCC、UNEP、OECD等の国際機関の要請に応じて専門家クラスタとしての知見や研究成果の提供、適切な研究人材の紹介を行う。
(3)拠点に関連する専門家同士による、研究の連携的実施ならびに多国間ネットワークでの情報共有・意見交換のためのプラットフォームを構築する。
3.次世代の研究者ネットワークの育成
(1)若手研究者、技術者、博士候補生の指導・教育・研修などの各種機会として、現地での研究活動への参加を促すほか、連続講座・集中講義等の形態でのNIES情報発信を行う。アジア固有の社会環境の共通理解を深めると共に、能力開発と横断的ネットワークの早期形成を図る。
(2)短・中期でのNIESでの受け入れによる研修や、共同研究への一部参画など、柔軟な人材受け入れによる研究促進ならびに活性化をはかる。

外部との連携

共同研究機関:

タイ:キングモンクット工科大学トンブリ校、カセサート大学

ベトナム:フエ大学、INEV

インドネシア:バンドン工科大学

シンガポール:南洋工科大学

国内連携機関:埼玉大学、岡山大学

課題代表者

山田 正人

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 室長(研究)
  • 京都大学博士(工学)
  • 工学,生物工学,化学工学
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担当者