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受精時の初期化を乗り越えて次世代胚に伝わる精子の環境因子由来DNAメチル化変化(平成 31年度)
Inheritance of environmental impacts on DNA methylation through sperm to the next generation embryos

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD021
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
胚,DNAメチル化,無機ヒ素
キーワード(英語)
embryo, DNA methylation, inorganic arsenic

研究概要

申請者らは妊娠マウス(F0)に無機ヒ素を曝露すると、その雄の子(F1)を親とする次の世代(F2)の肝臓で腫瘍が増加することを発見した。さらにヒ素群F1精子におけるDNAメチル化修飾のかく乱を検出し、これがF2に受け継がれ肝腫瘍増加につながる可能性をみいだした。しかし生殖細胞のDNAメチル化は受精後に一旦ほぼ脱メチル化され初期化された後に再構成されることから、受精前のDNAメチル化かく乱が受精後の胚でどの程度、どのように再構成されるかは全く不明である。本研究では、これまで着手されていなかった精子における環境由来のDNAメチル化かく乱の次世代胚への伝搬について、最新のゲノム解析技術を用いて明らかにし、腫瘍増加につながる経路を提示する。これによりF0ヒ素曝露の影響がF2に現れるというメカニズム未知の現象の理解の壁を打破する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

1)妊娠期ヒ素曝露マウスのF1精子およびF2胚のDNAの単離:C3Hマウスの妊娠期に通常水または無機ヒ素含有水を投与して得られた対照群とヒ素群F1雄を他系統(C57BL/6)マウス雌と交配し、メチル化再構成後の胎生6日前後の胚 (F2)を得る。またF1の精子を採取し、胚と精子のDNAを単離する。
2)DNAメチル化解析:F2胚とF1精子のDNAから、Reduced representation bisulfite sequencing (RRBS)用ライブラリーを作製して次世代シークエンスを行い、系統間の1塩基多型を利用して雌雄アレル別にゲノムにマッピングし、精子および胚雌雄アレルの各塩基のメチル化度を明らかにする。各種アルゴリズムにより対照群とヒ素群の精子と胚の各アレルのDNAメチル化に差がある部分を検出し、ヒ素群F1精子でかく乱を受けてF2胚に伝わったと考えられるDNAメチル化変化を明らかにする。
3)腫瘍との関連の考察:上記で明らかにした胚のDNAメチル化かく乱領域について、各種データベースによりヒストン修飾やnon-coding RNAプロモーターとの関連を調べ、肝腫瘍増加につながる遺伝子発現への影響経路を予測する。

今年度の研究概要

C3Hマウス対照群およびヒ素群F1雄とC57BL/6マウス雌を交配して得た7.5日胚のRRBSライブラリーの次世代シークエンスを完了する。アレル別のDNAメチル化解析を実施することによって父親と母親由来のDNAメチル化パターンを明らかにし、ヒ素曝露によるF1精子でのDNAメチル化変化が次世代の胚にいかに伝わるかを明らかにする。

外部との連携

共同研究者:国立成育医療研究センター 中林一彦

関連する研究課題

課題代表者

野原 恵子

  • 環境リスク・健康研究センター
  • フェロー
  • 学術博士
  • 医学,生化学,生物工学
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担当者