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2018年8月6日

日・ASEAN統合基金(JAIF)による、生活排水処理分野の東南アジア地域政策対話推進プロジェクトの開始について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

平成30年8月6日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター
  高度技能専門員 久保田 利恵子
  高度技能専門員 萩原 葉子
 国際廃棄物管理技術研究室
  主任研究員 蛯江 美孝
 

   国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)とインドネシア公共事業・国民住宅省が共同で提案した、日・ASEAN統合基金(JAIF)※1の活用による、ASEAN加盟国を対象とした、東南アジア地域における分散型生活排水処理推進の統合的基盤強化のための政策対話によるネットワーク形成、政策策定支援、人材育成等を行うプロジェクトが、平成30年7月11日に承認され、開始されました。

1.背景

   東南アジア各国は、急激な経済成長と工業化、人口増加に伴う都市排水(汚水)の増加等に直面する一方で、適切な排水処理を促進するための制度はまだ十分整備されておらず、処理に有効な技術も普及していない状況にあります。排水処理のための施設には、排水を管路で収集して集合的に処理を行うものと、分散的に処理を行うものがありますが、前者としては下水道が知られており、後者には、家庭や商業施設の排水を処理する浄化槽※2等があります。日本は、これまで培った排水処理技術や経験をもとに、近年、ASEAN各国のニーズに応じて、排水処理施設の導入や推進のための支援を行ってきました。

2.活動の概要

   本プロジェクトでは、主として生活排水分野における分散型排水処理を対象とし、技術的支援のみならず、技術の普及や活用が効果的に実施されるためのASEAN各国の制度整備面での課題抽出と解決のための政策策定支援などを行います。活動内容の概要は以下のとおりです。

1)ASEAN各国の分散型生活排水処理の管理に係る政策・制度についての実態調査
2)各国の既存の法制度および技術の評価
3)分散型生活排水処理の整備に関するASEAN地域レベルでの政策対話
4)各国の政策策定支援や政策提言作成
5)日本やASEAN加盟国で製造された分散型生活排水処理装置の性能評価試験
6)政策決定者や学識経験者を対象とした人材育成

対象国 :ASEAN 10ヶ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール(上記のうち一部実施しない項目もある。)、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)
実施期間:平成30年7月11日~平成32年7月10日

3.期待される成果

   本プロジェクトの実施により、ASEAN加盟国での調和のとれた政策策定による分散型生活排水処理技術の標準化や、関連する政策決定者及び専門家の域内ネットワークの形成、人材育成等が促進されることが期待されます。分散型生活排水処理分野における政策・技術の促進は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)※3のうち、水と衛生に関する目標6の達成度を測る指標の一つである、「6.3.1 2030年までに、未処理の下水の割合を半減させる」という項目の達成にも貢献するものであり、ASEAN加盟国での調和のとれた生活排水処理政策策定は、ASEANブループリント2025※4に示された、環境面において持続可能な都市の実現という目標にも沿うものです。本プロジェクトの成果がASEAN加盟国の水環境や生活環境の向上へとつながることが期待されます。

※1 ASEAN共同体設立に向けて統合を進めるASEANの支援のために、日本政府の拠出金に基づき、平成18年にASEAN事務局に設置された基金(Japan-ASEAN Integration Fund)。

※2 ここでは、台所、風呂、洗濯などからの生活雑排水とトイレ排水とを併せて処理する施設である「合併処理浄化槽」を指す。処理能力が高い一方で、初期コストが比較的安価で、設置も比較的短期間で可能である。処理施設までの距離が長い下水道と比べて、発生源のすぐ近くで速やかに排水を処理して、近隣の公共水域へと循環させることができるというメリットがある。

※3 平成27年9月に国連の「持続可能な開発サミット」で採択された行動計画「2030アジェンダ」に盛り込まれた、国際社会が2030年までに達成を目指す目標。

※4 ASEAN経済共同体、ASEAN政治・安全保障共同体、ASEAN社会・文化共同体が2025年までの達成目標と戦略的行動計画を「ブループリント(青写真)2025」として定めており、このうち、「C2. 環境面において持続可能な都市」はASEAN社会・文化共同体のブループリントに含まれている。

【参考リンク】

日・ASEAN統合基金(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asean/j_asean/jaif.html

日・ASEAN統合基金(ASEAN)(英語)
https://jaif.asean.org/

浄化槽サイト(環境省)
https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/info/index.html

SDGs目標6の指標6.3.1(UN Water)(英語)
http://www.sdg6monitoring.org/indicators/target-63/indicators631/

ASEAN社会・文化共同体ブループリント2025(ASEAN)(英語)
http://asean.org/storage/2016/01/ASCC-Blueprint-2025.pdf

問い合わせ先

国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
   高度技能専門員 久保田 利恵子
   E-mail: kubota.rieko (末尾に@nies.go.jpをつけてください)
   電話:029-850-2835 Fax:029-850-2808
   高度技能専門員 萩原 葉子
   E-mail: hagiwara.yoko (末尾に@nies.go.jpをつけてください)
   主任研究員 蛯江 美孝
   E-mail: ebie.yoshitaka(末尾に@nies.go.jpをつけてください)