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2016年9月13日

第4弾:熱望を行動に換えて

NIES国際フォーラムレポート

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

パネルディスカッション

各分野のセッションを終えて、異分野の専門家同士によるパネルディスカッションも行われました。テーマはフォーラムのタイトルと同じく、“Sustainable Future in Asia: Converting Aspirations to Actions”(「アジアにおける持続可能な未来:熱望を行動に換えて」)です。

モデレーター

  • 水野 理 氏 Asian Institute of Technology, Regional Resource Centre for Asia and the Pacific, Director(アジア工科大学院 アジア太平洋地域資源センター ディレクター(仮訳))

パネリスト

  • 山本 和夫 氏 Asian Institute of Technology, Vice-President for Resource and Development
  • 藤田 壮 氏 国立環境研究所 社会環境システム研究センター センター長
  • 福士 謙介 氏 東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 教授
  • 池田 要 氏 一般財団法人リモート・センシング技術センター 理事長
  • Rizaldi Boer 氏 ボゴール農科大学(インドネシア) 教授

内容の簡単なまとめ

今回のパネルディスカッションの目的は、SDGsとパリ協定の熱望を行動に変えるために、幅広い意見や視点を統合することでした。モデレーター含む6名からはそれぞれに異なる意見が示されました。

水野氏

  • 科学と政策が相互に結びついた実践的なアプローチが必要である。
  • 環境問題の解決のためには協同的なアプローチが必要である。

山本氏

  • コミュニティを基盤としたマネジメントが必要である。
  • ジェンダーに関る問題や貧困削減を含む、開発における社会科学の分野について考慮する必要がある。
  • AITには、社会に貢献する、とりわけアジア地域に貢献する高い専門的技術がある。

藤田氏

  • 気候変動に関する問題やリスクについて、真剣に考えることの必要がある。3年間といった短期では、変化はそれほど目に見えるものではないが、今後20年間で考えれば、それぞれの国が気候変動の将来リスクについて深刻に考える必要がある。
  • リスク評価に基づいて、環境的価値を意思決定プロセスに織り込むことが重要である。人々を説得するためには、可視化がとても重要。将来の環境的価値を社会に組み込む方法として、科学的調査と科学的手法を有効活用することも重要である。
  • 環境的価値を政策と社会の両方の次元で強めるためには、AITのような研究機関との協同が不可欠である。

福士氏

  • 地域におけるパリ協定とSDGsにかかわる問題の解決のためには、ステークホルダーに対する更なる投資が必要である。
  • 科学者は問題解決のために、ステークホルダーの行動を手助けすべきである。また、科学者は中立を保ち、科学的根拠に基づいて決断をすべきである。

池田氏

  • 災害の影響を受けていたり、課題のある地域については、情報共有が必要である。しかるべき時に、正確なデータを共有することが重要である。
  • グローバルな問題の解決に資する成果がなければ、最先端技術を持つことに意味はない。
  • データは、幅広い人々に対して共有されるべきであり、それはエンドユーザーや地域コミュニティを含む。AITと日本の機関が、情報共有を強めるために、協力しあうことが重要である。

Boer氏

  • 地域政府の能力開発を行い、彼らに発展は世界レベルで起こっていることを伝えることの重要性を強調した。開発されたモデルの大半は、世界レベルや国レベルで問題を特定するものであるが、しかしながらそれらをローカルなシナリオに応用したものは限定されている。グローバルな問題の解決策を求める以前に、ローカルなシナリオを考えることが必要である。インドネシア政府は、このローカルなシナリオを政策の中で考えている。
  • 国際的な協同によってローカルの技術を改善する方法を見つけるべきである。これらの仕組みは国際的な発展をも支援する。

共同声明

フォーラムの最後には、主催機関の代表者らより、共同声明が発表されました。
共同声明では、各機関が今後も連携していく意向を確認しました。具体的には、今回のようなフォーラムの継続的な開催すること、多様なステークホルダー間の新しいネットワークの基礎を構築すること、そして、真に持続可能な社会への移行のためにアウトリーチや助言サービスを構築することについて言及しています。

おわりに

期間としてはわずか2日間の会議でしたが、大変充実した内容でした。そして、今回のフォーラムに参加したすべての人が、それぞれの立場で、これからいかに行動していくかが問われました。アジア各国から参加した、特に若い世代がどのように行動していくのか、期待が募ります。