拠点長あいさつ
福島地域協働研究拠点長 松田 和久
国立環境研究所は、2011年の東日本大震災の直後から、津波被害に伴う災害廃棄物の処理や、福島第一原発事故に伴う放射性物質の動態解明や汚染廃棄物の処理といった課題に取り組んだほか、比較的早い時期から、被災地の復興まちづくりを支援する研究も進めてきました。
こうした研究をさらに進めるため、当研究所は、2016年4月、福島県三春町の環境創造センター内に初めての地方組織として福島支部を開設し、同センターに拠点を置く、福島県環境創造センター、日本原子力研究開発機構(JAEA)と連携し、調査研究を行ってまいりました。そして、2021年4月に、福島支部を「福島地域協働研究拠点」(以下、「福島拠点」という。)と改称しました。
福島拠点では、引き続き、「災害環境研究」を、つくば本部とも連携しつつ進めています。具体的には、放射性物質に汚染された廃棄物の管理・処理に関する研究、環境中の放射性物質のモニタリング・環境動態・生物生態系への影響に関する研究、被災地における環境に配慮した復興まちづくりに関する研究、東日本大震災等のこれまでの災害の経験に基づき将来の災害に環境面から備えるための研究などに取り組んでいます。
また、環境創造センターに拠点を置く3機関の連携は2022年度には「フェーズ3」(8~10年目)に入り、部門間を横断したテーマも加え、連携強化を進めてまいります。
福島拠点では、開設以来、汚染廃棄物の適正処理などの環境回復に向けた取組への貢献、地元自治体と連携した復興まちづくりの支援など、研究成果に基づく社会実装、社会貢献の面でも、大きな成果を上げてきました。「福島地域協働研究拠点」への改称を機に、従来にも増して、地域のステークホルダーの皆様との連携・協働を一層進め、被災地の環境回復と地域環境の創生を支援するとともに、将来起こりうる災害に備えた地域づくりにも貢献して参ります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。