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長江流域で検証する「流域圏環境管理」のあり方

環境儀 NO.16

村上正吾/徐開欽
「開発」による「自然環境」の変化を観測し問題点と改善策を探る。それが、東アジアにおける”流域圏環境管理“のテーマです。

 自然環境と共存しうる人間活動(開発)とは、どのようなものか……。衛星からの送信データや水質調査などの観測項目を軸に環境変化を追い、問題点を探るという遠大な研究が日中の協力体制のもとに進められています。舞台は三峡ダム築造で世界に知られる長江流域。中国にあっても類を見ない開発が進むこの地域は、典型的なアジアモンスーンの気候帯、造山運動が活発な地帯に属するなど、わが国と共通する環境がそろっています。また地理的条件や海流から見ても、日本はこの地域の影響を受けやすい位置にあります。洪水被害を防ぎ水力エネルギーをもたらす三峡ダムの完成は現地の水源の水質劣化をまねき、生態系に影響をもたらす可能性も否めません。水界生態系のモニタリングデータまでを駆使し、「自然環境」と「開発」の共存への道標を模索する“流域圏環境管理”の最前線を紹介します。