- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0505AF939
- 開始/終了年度
- 2005~2005年
- キーワード(日本語)
- ハウスダスト, ダイオキシン様活性物質, CALUXアッセイ, HPLC分画, GC-MS
- キーワード(英語)
- House dust, dioxin-like compounds, CALUX assay, HPLC fractionation, GC-MS
研究概要
電化製品や繊維製品から含有臭素系難燃剤が移行・吸着するハウスダストは、それらの吸入曝露源として近年注目を集めているメディアである。我々は、ハウスダストから調製したダイオキシン類と同様の性質を示すハロゲン化芳香族炭化水素(HAHs)含有画分のCALUXアッセイ値(ダイオキシン様活性値)が汚染底質等よりも高い値を示し、臭素系難燃剤や臭素化ダイオキシン類の化学分析値からその寄与を推算しても活性値の5〜25%程度しか説明できないことを明らかにしつつある。本研究では、ハウスダストが示すダイオキシン様活性に寄与する物質をHPLC分画/CALUXアッセイ/GC-MS統合手法を用いて明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
1)ハウスダストの選定と前処理方法
本研究で対象とするハウスダストは、モニタリング調査において、ダイオキシン様活性値が臭素系難燃剤や臭素化ダイオキシン類の実測濃度から算出される化学分析由来の予測活性値と比較して乖離して高くなる試料とする。前処理では、ダイオキシン類と同様の性質、すなわち環境中や生体内中で分解され難い性質を示す化合物を対象とする。具体的には、有機溶媒による抽出を行った後、硫酸処理及び硫酸シリカゲルカラムクリーンアップを実施して、化学的に安定なHAHs含有画分を調製し、HPLC分画法に供する。2)多種分離カラムを用いたHPLC分画法の確立
ダイオキシン類を含むHAHsを効率的に分離するHPLC分画法を検討する。分離カラムには、芳香族化合物を芳香環数に応じて分離することが出来るニトロフェニルプロピルカラムや、化合物を疎水性に応じて分離することができるオクタデシルシカカラムの適用を予定しており、ポリ塩素化ビフェニル、ポリ臭素化ジフェニルエーテル、ポリ臭素化ダイオキシン及びポリ塩素化ナフタレンなどの標準物質を用いて両カラムにおける溶離特性、溶離時間及び再現性を把握し、ダイオキシン様活性物質の効果的な分画スキームを決定する。3)HAHs含有画分のHPLC分画/CALUXアッセイ/GC-MS統合手法への適用
1)でハウスダストから調製したHAHs含有画分を2)で構築したHPLC分画法に供し、分画スキームに従って分離・分取した各HPLC画分のダイオキシン様活性値をCALUXアッセイで算出する。ダイオキシン類の毒性は、細胞質内に存在するアリルハイドロカーボン受容体を介してCYP1Aを始めとした関連遺伝子が誘導されることにより発現すると考えられており、CALUXアッセイはこのメカニズムに応じて発現されるルシフェラーゼの活性を測定することによりダイオキシン類を測定するバイオアッセイ法である。ダイオキシン様活性が高い画分を、前段とは分離特性の異なるカラムを用いたHPLC分画に供して、活性の更なる分離を試みる。分取した各HPLC画分をCALUXアッセイに供して、ダイオキシン様活性値を算出する。2)で得られている標準物質の結果と比較して、各画分の活性に対応する化学物質群を推定し、GC-MS法により同定確認を行なう。また、標準物質の結果から推定できない未知の活性については、GC-MS法から取得する分子量やマススペクトル情報と、HPLC分画から得られている物理化学的情報に基づいて、未知活性物質の同定検索を試みる。
今年度の研究概要
多種分離カラムを用いたHPLC分画法によるHAHs混合物の効果的な分離法を構築してハウスダストから調製したHAHs含有画分に適用し、ダイオキシン様活性をカラムの分離特性に応じて切り分け、活性に寄与する物質群を把握する。HPLC分画法から得られる対象物質の物理化学的性質とGC-MS法により得られる分子量やマススペクトルに基づいて、未知ダイオキシン様活性物質の存在を検証する。
課題代表者
鈴木 剛
- 資源循環領域
資源循環基盤技術研究室 - 室長(研究)
- 農学博士
- 生化学,化学
担当者
-
滝上 英孝