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地球温暖化による東アジア地域の洪水・渇水リスクへの影響(平成 18年度)
Impacts of Global Warming on Flood/Drought Risks in East Asia

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0606AF406
開始/終了年度
2006~2006年
キーワード(日本語)
地球温暖化,洪水,渇水,降水,東アジア
キーワード(英語)
GLOBAL WARMING, FLOOD, DROUGHT, PRECIPITATION, EAST ASIA

研究概要

 21世紀世界人類が早急に取り組むべき水環境問題として「地球温暖化」と「世界水危機」が挙げられている.近年急速に開発が進み,今後も大幅な経済成長および人口の増加が予想されている東アジア地域においてもこれらは重要な課題となっており,持続可能な開発・環境管理を行うため,将来の水・物質循環変動予測や環境・生態系への影響評価に関する研究が進められている.

 地球温暖化による水文素過程への影響については,世界の多数の機関が独自の気候モデルを構築し,IPCCで採択されたSRESシナリオに基づいて将来予測を行っている.しかし,現在開発されている気候モデルでは局地気候の再現性には限界があり,とくに異常高温・低温,台風や集中豪雨,長期少雨・乾燥といった極端事象の予測は困難とされている.それに代わる方法として,複数のモデルによる計算結果を用いて予測の不確実性を考慮して確率論的に影響評価を行う研究が進められているが,治水計画や水資源管理,環境保全にとって重要となる極端事象の強度および発生頻度への影響についての研究は極めて少ない.

 本研究では,地球温暖化による流域水環境への影響評価を行うための基礎研究として,IPCCデータ配布センターにて公表されている全球気候モデルの日降水量データを解析し,東アジア地域の異常降水の強度と発生頻度の変化およびその不確実性を明らかにするとともに,洪水・渇水リスクへの影響評価を行う.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

1) 異常多雨・少雨の強度および発生頻度の統計解析

 洪水・渇水リスク評価するためには,降水強度のみでなく,まとまった流量を生起させる降水の発生頻度について検討する必要がある.本研究では,GCMsによる日降水量の計算値を観測値(Global Daily Climatology Network, NOAAなど)を用いてバイアス補正を行った後,降水の強度および発生頻度について統計解析を行う.降水強度の統計解析には比較的短い統計期間でも精度よく確率降水量が求められる部分期間系列(Partial Duration Series,PDS)を用いた手法,発生頻度の解析には一般化線形モデルを用いる.得られた結果についてデータベースを構築する.


2) 洪水・渇水リスクの評価

 1)で得られた結果をもとに複合ポアソン過程モデルを用いて日降水量の模擬時系列を発生させるとともに,それを応用して長江流域における流出シミュレーションを行うする.ピーク流量および流量持続曲線の変化を調べ,外水氾濫が生じると予想される場合には洪水氾濫シミュレーションを行い,地球温暖化による洪水・渇水リスクを評価する.

今年度の研究概要

上記1),2)を遂行する.

課題代表者

東 博紀

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 土木工学,農学,水産学
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