- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0607AF588
- 開始/終了年度
- 2006~2007年
- キーワード(日本語)
- 同位体
- キーワード(英語)
- ISOTOPE
研究概要
CO2同位体比は炭素循環研究の重要なツールであるが、その変動の主原因である植物の気孔での分別効果についての直接観測例は極めて少ない、また、最近、植物が多量のCH4を放出している可能性があるとの報告があるが、自然環境下での検証はなされていない。本研究では、植物の気孔を通したCO2同位体分別やCH4など微量ガスの交換について、自然環境下の植物に可能な限り撹乱を与えない観測手法を開発し、検証を実施する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
大気と植物の間の気体の交換やCO2の同位体分別は気孔の通気特性に大きく支配されており、これは、水分や光、CO2濃度といった環境因子の変化に迅速に応答し変化することが知られている。自然環境下で植物の葉でのガス交換の直接観測を実施する上では、サンプリング自体に起因するこれら環境因子の変化を可能な限り抑制することで植物の生理学的変化に起因するアーティファクトを排除することが重要である。そこで、以下の研究を行う。
1) 光を透過する開閉式チャンバーを森林キャノピー上部の枝に常時固定し、この内部で生じる気体成分の量的・質的変化をフラスコサンプリング・高精度ラボ分析により測定する。
2) 第一段階として、チャンバー内の空気を外部のバッファータンクを通じて還流循環させ、ここからサンプリングした空気の変化を測定する。
3) 第二段階として、チャンバー内の空気のCO2とH2Oを能動的に一定レベルに制御し、植物の交換前後のマスバランスから、気体交換量を推定する手法を開発する。
4) 定期観測・キャンペーン観測から植物の気体交換の環境因子に対する応答特性を評価する。
今年度の研究概要
野外観測用のチャンバーサンプリングシステムの開発を行い、サンプリング時の環境因子の撹乱の軽減についての効果を評価するとともに、温暖化に直接的・間接的に影響のある主要な微量ガス成分について、気孔を介した植物との交換の際に、これまでに知られていなかった吸収・放出能が存在するかどうかを検証する。
- 関連する研究課題
- 0 : 中核P1 温室効果ガスの長期的濃度変動メカニズムとその地域特性の解明
課題代表者
高橋 善幸
- 地球システム領域
陸域モニタリング推進室 - 室長(研究)
- 理学博士
- 化学,地学,生物学