- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0607AF384
- 開始/終了年度
- 2006~2007年
- キーワード(日本語)
- 酸素漏出,根,水生植物,アントラキノン
- キーワード(英語)
- radial oxygen loss, root, wetland plants, anthraquinone
研究概要
湿地の土壌は嫌気的で、このような環境に生育している水生植物の地下部は常に酸素不足ストレスにさらされている。水生植物の多くはこの問題に対応するため、体内の空隙を通して地上部から地下部へ酸素を送る機能を発達させている。送られた酸素は根の呼吸に使われるが、残りのの一部は根を介して土壌へと漏出され、嫌気的土壌中にモザイク状の好気的環境を形成し、微生物環境を大きく変える要因となる。植物の根からの酸素漏出速度を推定することは、湿地生態系の物質循環を理解する上で重要であるが、有用な測定法はまだない。本研究では、これを推定する新たな測定法を開発・実用化することを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
研究は以下の3ステップ(設計・組み立て・測定)で進める。設計と組み立てを平成18年度に行い、測定は平成19年度に行う。
1)測定装置の設計
土壌中で、根から漏出された酸素は周辺にある還元態物質(還元鉄、還元マンガンなど)の酸化反応や微生物によってすぐに消費される。そのため、根表面と土壌との間には常に高い酸素濃度勾配が存在する。根からの酸素漏出速度はこの酸素濃度勾配に依存するため、実際の野外における根からの酸素漏出速度を推定するためには、これと同じ状況で測定する必要がある。
本研究で提案する測定法では、根と周囲との間の高い酸素濃度勾配を維持した状態で測定が行えるように設計されている。また、微量の酸素を検出できるよう、酸素に非常に敏感な「アントラキノンラジカルアニオン」という物質を用いて、酸素を検出する。
2)測定装置の組み立て
3)測定
出来上がった測定装置で実際に測定・検証を行う。
今年度の研究概要
組み立てた測定装置を用いた試測定とキャリブレーションを行ったあと、実際の植物を用いた測定を行う。
- 関連する研究課題
- : アジア自然共生研究グループにおける研究活動
課題代表者
井上 智美
- 生物多様性領域
環境ストレス機構研究室 - 主幹研究員
- 理学博士
- 生物学,化学