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アトピー素因を有する高感受性集団に環境化学物質が及ぼす影響を簡易・迅速に判定する抗原提示細胞を用いた評価手法の開発(平成 19年度)
Development of evaluation system which can predict the effects of environmental chemicals on hypersensitive subjects with atopy using dendritic cells

予算区分
BD 環境-環境技術
研究課題コード
0708BD307
開始/終了年度
2007~2008年
キーワード(日本語)
アトピー,高感受性,抗原提示細胞,スクリーニング
キーワード(英語)
atopy, hypersensitivity, antigen presenting cell, screening

研究概要

「アトピー素因」を有する人々は、環境化学物質の健康リスクに感受性が高い。「アトピー素因」を有する高感受性集団を対象に、アレルギー疾患の発症・増悪を修飾する可能性が高い環境化学物質を簡易・迅速に判定し、in vivo における増悪影響を的確に反映するin vitro 評価系を開発し、至適化する。アレルギー反応の最初のステップを司る抗原提示細胞の培養系を適用する。本研究開発を、高感受性集団に健康影響をきたしやすい環境化学物質の絞り込みに役立て、その健康リスク評価及びリスクを低減する施策に科学的根拠を付与することに資する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:

全体計画

1.骨髄より分離誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro 影響評価手法の確立
(1)抗原提示細胞の分離誘導の至適化と環境化学物質の影響評価
「アトピー素因」を持つNcNgaマウス(半数にダニ抗原を感作)や他系統マウスの骨髄より抗原提示細胞を分離、分化誘導、培養し、その至適条件を確立する。抗原提示細胞の活性化(抗原取り込み、表面マーカー発現、抗原提示、液性因子産生、遺伝子発現変化、シグナル伝達に関わる分子の発現・修飾、転写因子の量・局在変化、等)を抗原、環境化学物質の存在下、非存在下に比較検討し、環境化学物質の影響を明らかにする。我々が既に確立しているin vivo 評価系においてアレルギー疾患増悪影響が明らかなフタル酸エステルやデイーゼル排気微粒子に含まれる化学物質を先導的な検討対象物質とする。
 (2)in vivo 影響評価手法と相関するin vitro 影響評価手法の開発
既に確立しているin vivo 評価系と骨髄より分離、分化誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro 評価系の相関を検討し、環境化学物質や抗原の至適添加時期等の詳細な実験条件を検討・確立する。
 (3)in vitro 影響評価手法の簡易化、迅速化に寄与するバイオマーカーの探索
当該のin vitro 評価系において、in vivo 評価系における増悪影響を的確かつ早期に予測しうる簡便な影響指標を、抗原提示細胞の活性化を示す分子群より探索し、バイオマーカーとして活用する。探索には、包括的な遺伝子・タンパク解析やflow cytometryも適用する。
 2.末梢血液より分離誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro 影響評価手法の検討
骨髄細胞は分化過程で末梢血液に流入するため、抗原提示細胞を末梢血液より分離、分化誘導する試みがある。本サブ課題では、末梢血液に由来する抗原提示細胞の培養手法の確立をめざす。マウス骨髄由来の抗原提示細胞に代えマウス末梢血由来の抗原提示細胞を利用し、同様の試みを進展させる。

今年度の研究概要

1.骨髄より分離誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro 影響評価手法の確立
(1)抗原提示細胞の分離誘導の至適化と環境化学物質の影響評価
「アトピー素因」を持つNcNgaマウスや他系統のマウスの骨髄より抗原提示細胞を分離、分化誘導、培養し、至適条件を検討し確立する。具体的には、マウス骨髄細胞を回収し、各種サイトカイン(GM-CSF, IL-4, IFN-gamma、等)を添加の上培養し、抗原提示細胞へ分化誘導する。細胞播種濃度、サイトカイン濃度、培養時間等の指摘条件検討を行う。また、この過程で培地中に抗原や環境化学物質を添加し、抗原提示細胞の活性化に及ぼす影響を検討する。抗原提示細胞の活性化は、取り込み能、細胞表面分子、TLRsの発現、抗原提示機能、液性因子産生能(サイトカイン;ケモカイン;脂質メディエーター等)、シグナル伝達に関わる分子の発現・(翻訳後)修飾、転写因子の量・局在変化、遺伝子発現変化、混合リンパ球反応・抗原特異的反応による細胞増殖アッセイ、混合培養系における上清中のIFN-gamma, IL-2, IL-4, IL-5, IL-13、等で評価する。環境化学物質等の環境ストレスがこれらの指標に与える影響を検討する。
 (2)in vivo 影響評価手法と相関するin vitro 影響評価手法の開発
既に確立しているin vivo 評価系と骨髄より分離、分化誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro 評価系の相関を、様々な条件下で比較検討する。
2.末梢血液より分離誘導した抗原提示細胞を用いたin vitro影響評価手法の検討
マウスの骨髄に由来する抗原提示細胞の分離、分化誘導、培養の経験を基に、マウスの末梢血液に由来する抗原提示細胞の培養手法について条件検討を行う。具体的には、複数のマウスより末梢血を採取し、密度勾配により末梢血単核球を分離する。もしくは磁気ビーズを用いたセレクション、セルソーター等の利用により、単核球系の細胞を得る。LPS、zymosan、チオグリケート等で刺激した個体の利用も考慮する。得られた細胞を各種サイトカイン添加培地で培養することにより、抗原提示細胞へ分化誘導させる。また、活性化レベルを評価し、培養条件の検討を行う。

備考

重点3中核P2に関連する課題

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動(環境健康研究領域)

課題代表者

高野 裕久

担当者