- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0809CD007
- 開始/終了年度
- 2008~2009年
- キーワード(日本語)
- バイオレメディエーション,ヒ素汚染土壌,嫌気呼吸,還元的可溶化
- キーワード(英語)
- Bioremediation, Arsenic-contaminated soil, Anaerobic respiration, Reductive dissolution
研究概要
土壌汚染対策法の施行を契機として、工場跡地の再開発等に伴う土壌汚染の顕在化が重要な社会問題となっており、特に、環境省調査で環境基準超過数が例年第1-2位と高い位置を占めるヒ素による汚染が深刻となっている。現在その処理には、多くの場合、汚染された土壌の封じ込めや掘削除去が適用されているが、極めて高コストであるうえ、処理後の土地利用が大きく制限される。本研究では、微生物によるヒ素の還元・可溶化作用とメディエーターを複合的に利用して、汚染土壌からのヒ素の経済的除去を可能とする新規技術の開発を目指す。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
2007年度:異化型ヒ酸塩還元細菌によるヒ素可溶化作用に対して、促進効果を持つ可能性のある天然メディエーターの1次スクリーニングを行う。また、特に高い抽出促進効果の得られた物質を選定して促進能力の評価を明確に行い、効率及びコスト面で有用なメディエーターを獲得する。
2008年度:効率・コスト面でそれぞれ最も高い評価が得られたメディエーターを用いて、実際の汚染サイトから採取した汚染土壌からのヒ素抽出試験をバイアルビンレベルで行う。また、実利用を想定したラボスケールリアクターを設計し、複数の実汚染土壌に対する浄化実験を行って、その有効性を検証する。
今年度の研究概要
実験には、ヒ酸塩溶液を含むバイアルビン内に、鉄(III)塩またはアルミニウム塩を加えることで生成する共沈殿物を用いる。具体的には、この共沈殿物を含む培養液に異化型ヒ酸塩還元細菌と各種天然メディエーター(同一濃度)を含む培養液を加えてヒ素可溶化試験を行う。得られた結果をメディエーターを加えていない対照系と比較することで、各メディエーターによるヒ素可溶化促進の程度とメカニズムを明らかとする。その後、特に高い抽出促進効果の得られた物質を5種類程度選定し、異なるメディエーター濃度において詳細な可溶化試験を行い、還元・溶出速度定数等のパラメータを算出することで各メディエーターの可溶化促進能力を明確に評価する。
- 関連する研究課題
- 0 : その他の研究活動
課題代表者
山村 茂樹
- 地域環境保全領域
土壌環境研究室 - 室長(研究)
- 博士(工学)
- 生物工学,土木工学