気温とオゾン濃度上昇が水稲の生産性におよぼす複合影響評価と適応方策に関する研究 (3) 高温・オゾン適応のための分子マーカーの探索とオゾンストレス診断アレイの開発（平成 20年度）
Assessment of combined effects of increase in temperature and ozone concentration on rice production and quality, and its application for mitigation of food supply risk in Asian countries (3) Search for molecular markers for adaptation to high temperature and ozone and development of a diagnostic array for ozone stress evaluation

研究概要

　高温・オゾンストレスに関係する植物の生体内物質（分子マーカー）の変化を検出することにより，高温・オゾンに対する植物の応答を明らかにし，高温・オゾンに対する耐性品種の選択や育種に関する知見を提供する。高温・オゾン誘導性及び抑制性物質の探索による高温・オゾン影響を反映する分子マーカーの同定とイネ品種の感受性評価、高温・オゾン耐性品種の選択や育種に利用できる分子マーカーの解明、及び高温下でのオゾンストレスを特異的に検出できるシロイヌナズナ及びイネのオゾンストレス診断用DNAアレイの開発を目標とする。

研究の性格

• 主たるもの：応用科学研究
• 従たるもの：技術開発・評価

全体計画

　平成20年度には，イネに高温とオゾンの複合暴露を行い，網羅的に分子マーカーを探索するとともに、シロイヌナズナ・オゾンストレス診断アレイの野外での有効性を調べる。平成21年度には，分子マーカーの信頼性を確認するとともに，イネのオゾンストレス診断アレイを作成する。平成22年度には，収量・バイオマスや品質の変化の程度と相関のある含有量や応答性を示す分子マーカーを探索するとともに、イネ・オゾンストレス診断アレイでイネ試料の分析を行い、手法の有効性を評価する。

今年度の研究概要

　人工光型植物育成チャンバーで，イネに対する高温とオゾンの複合影響実験を行い，RNAやタンパク質などの含有量・暴露時の変化をマイクロアレイ法や二次元電気泳動法などで網羅的に調べ，分子マーカーを探索する。また、オープントップチャンバーでシロイヌナズナの暴露試験を行い，シロイヌナズナにおいて開発中のオゾンストレス診断アレイで高温下でのオゾンストレスを特異的に判定できるかどうかを検討し，オゾンストレス診断アレイの野外条件における有効性を評価する。

備考

課題代表者：河野吉久（電力中央研究所）