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多次元分離分析法による有機ハロゲン系化合物等の微量有機汚染物質の網羅分析(平成 21年度)
Comprehensive analysis of trace environmental organic pollutants such as organohalogen compounds using multi-dimensional separation

予算区分
AG 特別研究
研究課題コード
0911AG005
開始/終了年度
2009~2011年
キーワード(日本語)
GCxGC,TOFMS,POPs,ダイオキシン類,PCBs,MS/MS
キーワード(英語)
GCxGC, TOFMS, POPs, dioxins, PCBs, MS/MS

研究概要

化学物質による環境汚染の広がりに対応するために、有機ハロゲン系化合物等を高精細に分離しながら網羅的かつ選択的に検出することで物質の検索と同定を容易にする方法と、選択した物質を一斉に高感度・高精度・迅速に定量する方法を開発する。高精細な分離には極めて高い分離能が得られるGCxGC法を、網羅的かつ選択的高感度検出には最新鋭のMS/MSとHRTOFMSを用い、これらを組合わせた先端的次世代分析を開拓する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

(1)環境中有機ハロゲン系化合物の網羅分析
 底質,水質,大気などの環境試料,工場排ガスなどの発生源試料,生体試料や廃棄物試料を対象に,GCxGC-MS/MSによるフッ素,塩素,臭素,ヨウ素原子の質量数に合わせたニュートラルロススキャン測定を行い,得られるハロゲン系化合物の二次元クロマトグラムから,既知物質の検出,未知物質(標準法測定対象外物質)の検索を行う.その際,試料前処理を極力避けて目的化合物のロスを防ぐ.
 検索の結果,未知物質が発見された場合には,GCxGC-HRTOFMSによる精密測定を実施し,物質の同定を行う.
 また,フッ素,塩素,臭素,ヨウ素化合物の各二次元クロマトグラムを時間補正して重ね合わせる手法を確立し,その手法により,ミックスハロゲン化合物の有無とその割合を見積もる.
 これらにより,有機ハロゲン系化合物を網羅的にスクリーニングし,その有無や各媒体における特徴を明らかにし,同時に潜在的リスクとなり得る測定対象外物質を明らかにする.

(2)環境中微量有機汚染物質の高精度・迅速定量
環境基準が定められたり,国際条約で監視が求められるなど,分析需要や件数が多い化学物質(ダイオキシン類,PCB,POPs,臭素系難燃剤等)を対象として,GCxGC-MS/MSでMRM測定を行う方法を開発し,煩雑で時間と熟練を要し溶剤等の資源を大量に消費する前処理工程の省略や,一般的な四重極型質量分析計(QMS)によるSRM(selected reaction monitoring)測定と同等以上の感度と精度の達成に加え,従来は前処理法で分けられていた化合物群の一斉分析を実現する.
分析法の検討では,媒体(大気,水質,排ガス,底質,土壌,生物,廃棄物など)毎に,注入法や前処理の効果などを吟味し,実用的な一斉迅速定量法を開発する.
このような,一斉・迅速・簡便・省資源・高感度・高精度・定量を兼ね備えた分析法は,PAHs類や農薬その他の化学物質の分析にも適用できることが期待され,その拡張性についても検討する.

今年度の研究概要

平成21年度は、ダイオキシン類、PCBs、その他のPOPs、 PAHs(ニトロ体、オキシ体を含む)、PBDEs、PFCsなどの標準物質を用い、GCxGC-MS/MSによるMRM測定条件の検討、各種スキャン測定による基本データの収集などを行う。下水処理処理汚泥などの実試料について、一部測定を行い、手法の有効性について予備検討をする。
GCxGC-HRTOFMSの測定データの解析手法について、基礎検討を開始する。

関連する研究課題
  • 0 : 領域プロジェクト

課題代表者

橋本 俊次

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 室長(研究)
  • 学術博士
  • 農学,化学
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担当者