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食品添加物における遺伝毒性発がん物質の評価法に関する研究(平成 23年度)
Studies on safety evaluation of genotoxic carcinogens in food additives

予算区分
DA 厚労-厚生科学
研究課題コード
0911DA003
開始/終了年度
2009~2011年
キーワード(日本語)
体内突然変異,第2相薬物代謝酵素,遺伝子欠損動物
キーワード(英語)
in vivo mutation, phase II drug-metabolizing enzyme, gene knockout aminal

研究概要

遺伝毒性発がん物質には「閾値がない」という考えが規制科学における定説となっており、どのように微量であっても遺伝毒性発がん物質はヒトに対してリスクを負わせるものと考えられている。解毒代謝、DNA修復、トランスリージョンDNA合成、アポトーシスなどは、遺伝毒性物質の作用を抑制し「実質的な閾値」を形成する可能性が考えられるが、in vivoでのデーターは欠けている。そこで、マウス個体を用い、トランスリージョンDNA合成、DNA修復、解毒代謝が「遺伝毒性物質の閾値形成」に及ぼす影響について検討する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

薬物代謝酵素やDNA修復系などDNA防御機能の欠損した動物の臓器では、細胞増殖中に変異原物質の作用を受けると、変異原物質への感受性が増加して、突然変異頻度が著しく増加し、「実質的な閾値」が低下あるいは消失する可能性がある。そこで、gpt delta Nrf2-KOマウスなど、薬物代謝酵素等DNA防御機能が欠損した動物に遺伝毒性をもつ化学物質を投与することで、DNA防御機能や細胞増殖の活性化が「実質的な閾値」の存在にどの程度影響を与えているかを明らかにする。

今年度の研究概要

繁殖により作成したNrf2(-/-) gpt/gptマウスとNrf2(+/+) gpt/gptマウスに食品添加物である臭素酸カリウムを1ヶ月飲水投与し、Nrf2遺伝子の欠損による感受性の上昇の程度を明らかにする。Nrf2(-/-)マウスが死亡しない最大用量の臭素酸カリウムを投与した後、発がんの標的臓器(小腸など)の突然変異発生頻度をNrf2(-/-)とNrf2(+/+)で変異頻度を比較する。さらに、8-OHdGなどの付加体生成量も測定し、Nrf2の欠損により突然変異発生頻度等がどの程度上昇したかを明らかにする。これらの知見を基に、閾値を決定する要因を考察する。

外部との連携

研究代表者 能美健彦(国立医薬品食品衛生研究所)

課題代表者

青木 康展

担当者

  • 松本 理