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モンゴルの永久凍土地帯における脆弱性評価及び適応策の提言に関する研究(平成 24年度)
Vulnerability assessment and its adaptation strategies in permafrost region of Mongolia

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) E-1203
研究課題コード
1214BA001
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
モンゴル,永久凍土,脆弱性,気候変動,適応策
キーワード(英語)
Mongolia, Permafrost, Vulnerability, Climate change, Adaptation strategies

研究概要

 モンゴルでは温暖化の影響による永久凍土の融解が顕在化し、それによって草原の乾燥化や砂漠化が進み、草地生産量や牧畜生産量にも影響を及ぼすと考えられる。既存の研究では、永久凍土の融解による水循環の変動および牧草・牧畜生産量との関係が解明されていない。本研究では、科学的なデータに基づいて永久凍土の融解及びそれに伴う陸域生態系の脆弱性を明らかにすると共に、地域別の環境容量と牧畜経済の持続性を維持できる頑強な適応策の提言を行う。得られた情報や研究成果については、国連環境計画(UNEP)のアジア太平洋地域適応ネットワーク(APAN)等を通じて他の地域との共有を図ると同時に、両国の政府関係者や政策決定者に向けて発信する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

 モンゴルの永久凍土地域では、1940年から2℃ほど年平均気温が上昇しており、調査地点での永久凍土の深さが減少傾向にあることが明らかになった。永久凍土の融解によって、森林や草原を含む土地の乾燥化・砂漠化が進み、草原の生産量や牧畜の生産量に負の効果を及ぼすと考えられる。本研究では、気候変動による永久凍土の融解及びそれに伴う陸域生態系の脆弱性を明らかにすると共に、地域の環境容量と牧畜経済の持続性を維持できる頑強な適応政策の提言を行う。具体的には、下記のサブテーマにより研究を推進する。
(1)早期観測ネットワークによる永久凍土融解の検出及び脆弱性評価
 早期観測ネットワークによる衛星・地上観測データを用いて、モンゴル高原に分布する永久凍土の融解及びそれに伴う陸域生態系の脆弱性を明らかにするため、まず、広域の地表面温度や植生指数等の衛星高次処理データを用いて、永久凍土の分布状況を把握する。また、広域な気象要因、植生被覆及び蒸発散量などのデータを用いて、草地生産量の地域分布を推定する。これらの推定結果を検証するため、長期モニタリングを実施する上で、現地調査や相手国の共同研究者との研究打ち合わせなどを定期的に行う。最終的に、検証された草原地域の現状生産量とサブテーマ?で推定された環境容量をオーバーレイすることによって、永久凍土お融解に伴う水資源の枯渇、草原の乾燥化および生産量の低下等の陸域生態系の脆弱性を明らかにする。
(2)気候変動に対する環境容量・適応策評価システムの開発と適応策の提言
 設定された観測サイトおよび実証サイトにおいて気候変動要因および社会・経済要因が草原地域の環境容量に与える影響評価を行う。また、地域別(郡)の環境容量に基づく適正放牧頭数の推定を行うとともに、適正放牧頭数へ誘導するための適応策(家畜数制御、放牧地域の拡大・移動等)、適応技術(放牧地の水資源利用・整備計画等)の技術・政策オプションの適応効果(環境容量維持効果及び経済効果)を評価するための適応策評価システムを開発し、気候変動に頑強な適応策の提言を行う。

今年度の研究概要

(1)広域の地表面温度等の衛星高次処理データを用いて、永久凍土の分布図を作成する。作成した分布図を検証するため、永久凍土の長期モニタリングを実施する上で、現地調査、情報収集と研究打ち合わせを行う。
(2)実証サイトにおいて気候変動要因および社会・経済要因が草原地域の環境容量に与える影響評価を行い、FAOのSimSAGS モデルによる凍土融解・環境容量の検証およびソム(郡)レベルの環境容量と適正家畜頭数の決定を行う。

外部との連携

サブテーマ1 早期観測ネットワークによる永久凍土融解の検出及び脆弱性評価 (独立行政法人国立環境研究所)
サブテーマ2 気候変動に対する環境容量・適応策評価システムの開発と適応策の提言(学校法人 慶應義塾大学)

備考

本研究は慶応大学と共同で行っている。

関連する研究課題
  • 0 : 地域環境研究分野における研究課題

課題代表者

王 勤学

  • 地域環境保全領域
  • 主席研究員
  • 地球環境学 博士
  • 地理学,地学,農学
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担当者