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化学物質のリスク評価手法の体系化に関する基盤研究(平成 25年度)
Fundamental research for risk assessment of chemicals

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ019
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
化学物質,リスク評価,作用機序,毒性予測,環境政策
キーワード(英語)
chemicals, risk assessment, mode of action, prediction of toxicity, environmental policy

研究概要

化学物質の人への健康影響、生態系への影響の評価に必要な有害性や曝露にかかわるデータを取得する手法を開発し、さらに、リスク評価に必要な情報を体系的に整備することにより、環境リスク評価の実施や指針値の策定等の環境施策を推進する基盤を構築する。また、化学物質の毒性予測手法を開発することにより、施策への活用に必要な毒性予測の不確実性に対する定量的な情報の提供を可能にする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

環境施策を推進する基盤を構築する観点から、下記の研究を有機的に連携させ、実験的知見をモデル構築に反映させる形で研究を実施する。
1.環境規制値等の策定に資する情報蓄積とリスク評価の総合化
(1)環境省が行った初期評価結果について、そのいくつかについてその後の曝露状況、追加毒性情報など詳細リスク情報に基づいて修正が必要であるか検討する。
(2)環境省が行う行政管理目的のためのリスク評価手法に関する考え方の整理を行い、同手法の体系化に向けた検討を行う。
2.化学物質のリスク評価における実験的知見のヒトへの外挿に関する研究
解毒代謝、DNA修復、トランスリージョンDNA合成、アポトーシスなどの化学物質に対する生体防御反応は、遺伝毒性物質の作用を抑制し、発がんや生殖毒性に「実質的な閾値」を形成する可能性が考えられている。これらの生体防御が「遺伝毒性物質の閾値形成」に及ぼす影響について検討して、実験動物とヒトの化学物質の毒性発現の作用機序の同等性を明らかにする。
3.生体分子及び周囲の環境を考慮にいれた化学物質の毒性理論手法の開発
実験および理論研究から得られた化学物質とタンパク質等の生体分子や周囲の溶媒との反応性と相互作用の知見を基に、化学物質が発現する毒性のメカニズムを考慮した毒性を予測するための理論化学的手法を開発する。
4.ベイズ統計と統計的因果推論に基づくリスク解析法の開発
異質・不揃い・断片的な証拠を統合的にリスク推論に使用するための一般的な数理統計学的アプローチの開発を行う。特に、ベイズ統計と統計的因果推論の理論的枠組を実際の環境リスク解析へ適用し、「不確実性の異なる複数の証拠」や「交絡の可能性がある複数の潜在的リスク要因」が存在する場合のリスク解析法を開発する。

今年度の研究概要

環境施策遂行のためのリスク評価手法に関する考え方を整理した上で、有害大気汚染物質や河川中の農薬などの複合曝露のリスク評価に必要な曝露情報や有害性の知見を引き続き収集する。また、弱い遺伝毒性を示す化学物質について、有害性の閾値を決定する生体の感受性要因を解明する。

課題代表者

青木 康展

担当者

  • 鑪迫 典久
  • 松本 理
  • 林 岳彦社会システム領域
  • 古濱 彩子
  • 渡部 春奈環境リスク・健康領域