ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

能動・受動型測器と数値モデルを複合利用したエアロゾルの大気境界層への影響解明(平成 26年度)
Study on aerosol effect on planetary boundary layer from active and passive remote sensing observations and numerical model simulation

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1214CD005
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
大気境界層,エアロゾル,ライダー,スカイラジオメーター,数値モデル
キーワード(英語)
planetary boundary layer, aerosol, lidar, skyradiometer, numerical model

研究概要

地球大気を駆動するエネルギー源は、太陽からの入射エネルギーである。日射は、一旦地表面で吸収され、その後、地表面から顕熱、潜熱、長波放射の形で大気へ運ばれる。大気境界層は、地表面に最も近い層であり、地表面と自由大気をつなぐ役割を担っている。このため、大気境界層の時空間変動は、エネルギー・水・物質の循環に大きな影響をもつ。エアロゾルの大気境界層への影響は、観測・モデル実験の両面で行われている。しかし、観測は、単発的な事例解析のみであり、また、定性的な議論にとどまる。一方、モデル実験では、定量的な議論がなされるが、現実のエアロゾル光学特性が反映された研究はない。実際のエアロゾルが大気境界層へ与える影響を解明するには、観測からエアロゾル光学特性の詳細を把握し、モデル実験で定量的な議論に持ち込む手法が適していると考えられる。
 そこで本研究では、エアロゾルの短期・長期変動が大気境界層へ与える影響について、観測とモデルを複合利用することで、その実態を解明する。具体的には、(1)ライダーとスカイラジオメータを複合利用したエアロゾル光学特性の新しい推定法を開発し、通年観測からエアロゾルの季節変動と黄砂等の特定イベントを調べる。(2)(1)により得られたエアロゾルの短期変動を一次元大気境界層モデルに与えることで、エアロゾルが大気境界層へ与える影響を明らかにする。(3)先行プロジェクトによって得られているエアロゾル光学特性の過去34年分の変動から、エアロゾルの長期的な大気境界層への影響を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

エアロゾルの短期・長期変動が大気境界層へ与える影響について、観測とモデルを複合利用することで、その実態を解明する。本研究で実施する研究内容を以下に示す。

2012年度
・エアロゾルの放射影響を加味した一次元大気境界層モデルを開発する。
・高スペクトル分解ライダーとスカイラジオメータによる連続観測(つくば)を行う。データの基礎処理プログラムを作成する。
2013年度
・引き続き高スペクトル分解ライダーとスカイラジオメータの連続観測を実施する。
・ライダーとスカイラジオメーターのデータを複合利用したエアロゾル光学特性推定アルゴリズムの開発を行う
・先行研究で実施したつくばでの1975年〜2008年(34年分)のエアロゾル光学特性データを上記の一次元大気境界層モデルで用いて、長期間での大気境界層へのエアロゾルの影響を検討する。
2014年度
・開発したライダー・スカイラジオメータ複合解析手法を用いて、データ解析を行う。
・解析したデータと一次元大気境界層モデルを用いて、短期間(3年間)での大気境界層へのエアロゾルの影響を検討する。季節変化やイベント解析も実施する。

今年度の研究概要

引き続き、波長532nmでの偏光および1064nmの受信チャンネルを有した波長532nmでの高スペクトル分解ライダーによる連続観測を実施する。本ライダーからエアロゾル光学特性値(波長532nmでの消散係数、後方散乱係数、偏光解消度、1064nmでの後方散乱係数)を推定し、データセットを構築する。

外部との連携

本研究は、H12-14科研費C採択課題「能動・受動型測器と数値モデルを複合利用したエアロゾルの大気境界層への影響解明」(代表: 工藤玲(気象研究所)、分担: 西澤智明(環境研))の下で実施される。

課題代表者

西澤 智明

  • 地球システム領域
    大気遠隔計測研究室
  • 室長(研究)
  • 理学博士
  • 理学 ,物理学
portrait