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リソースロジスティクスの可視化に立脚したイノベーション戦略策定支援(平成 26年度)
Resource logistics as a support tool of science and technology policy decision

予算区分
KB JST
研究課題コード
1215KB001
開始/終了年度
2012~2015年
キーワード(日本語)
リソースロジスティクス,サプライチェーン,科学技術,資源
キーワード(英語)
Resource logistics, Supply chain, Science and technology, Resource

研究概要

現在、第4期科学技術基本計画においてグリーンイノベーション、ライフイノベーション、再生復興イノベーションが、我が国における科学技術イノベーション推進において重要なターゲットとして掲げられており、ICTならびにナノテク・材料についてはこれらを支える基盤技術としてイノベーション戦略の策定が求められている。
 このような背景のもと、本プロジェクトでは技術の浮揚、牽引、導入、実装をつなぐステークホルダーの各フィールドでどこに、どのように、どれだけの資源が用いられているのか。イノベーションの導入に伴い、どの資源利用にどのような変化が生まれ、その波及効果がどれほどなのか。あるいはその利用に物理的・経済的障壁が予想される資源について、イノベーションを喚起し、牽引することでどのような波及効果が期待できるのかといった「リソースロジスティクス」を可視化し、イノベーションに係わるステークホルダーの抽出と、その関与の度合いを定量的に示すことを目指す。
 また科学技術イノベーションの導入、効果的な実装においてこれらのステークホルダー間の対話は重要であるが、共有知識が不十分であると同床異夢に陥る危険性がある。対話の際の共通知として本プロジェクトが明らかにする可視化されたリソースロジスティクスはステークホルダー間の情報共有を可能にし、ステークホルダー間の知のギャップの気づきを与える。さらにリソース・ロジスティクスを明らかにすることで、リソース、マテリアルの流れを通じたサプライチェーンをとらえる。これにより科学技術イノベーションを介したネットワークのクリティカルノードを洗い出し、重点化すべき科学技術イノベーションの抽出を図ることができると期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

リソースロジスティクスの可視化は以下の3つの手法で、科学技術イノベーションの浮揚と実装に伴う資源の流れを明らかにし、関連するステークホルダーの抽出支援を行う。
(A)マテリアルフロー解析
(B)総物質関与総量(Total Materials Requirement:TMR)
(C)産業連関表を用いたサプライチェーン分析

事例研究の範囲は(1)産業、(2)消費、(3)環境・社会インパクトの3段階に分類して進める。イノベーションの浮揚、牽引、導入、実装において範囲が(1)(2)(3)の順に、より広範になるものであり、関与するステークホルダーの数が増えると同時に、イノベーションのもたらす効果が不明瞭になる傾向がある。更に、(1)(2)(3)の事例研究を通じて、イノベーションに係わるステークホルダーの抽出、そこに存在する知のギャップを埋め、イノベーションの浮揚と導入にどのような障壁があるのかを検討、マーケットの整備、政策・法規制、教育等の手法を用いて実装に向けたガバナンスを戦略的に推進支援するためのマニュアル提案を行う。

今年度の研究概要

引き続き各事例研究グループでリソースロジスティクス可視化と、ステークホルダーの抽出、サプライチェーンリスクの同定、定量評価をすすめ、これまでに行われてきた科学技術イノベーション推進、浮揚、実装に係わるステークホルダーの抽出と、それぞれの役割についての整理を行う。
同じく引き続きリソースロジスティクス可視化情報に基づき、ステークホルダー間におけるサプライチェーンリスク情報の共有に向けたプラットフォーム構築ならびにその利用に関わるガイドブックの作成を行う。具体的にはリソースロジスティクス可視化によって得られたマテリアルフロー情報、サプライチェーンを通じたステークホルダーの資源消費の寄与度、サプライチェーンリスクの指標化を行い、これらを格納したデータベースを構築するとともに、政策担当者、技術開発に関わる主体がこれらの情報をもとに、革新技術に関わるサプライチェーンリスクについて共通のフレームワークで情報共有ができるプラットフォームの構築を目指す。ユーザーが利用しやすく、新たなリソースロジスティクス情報、サプライチェーンリスク情報をアップデートしやすい構造をもったグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の検討もあわせて行う。開発にあたり管理省庁、機関としてJOGMECあるいは経済産業省を想定し、関係する担当者と適宜意見交換をおこないつつ、プラットフォーム構築を目指す。またプラットフォーム利用にあたりそのガイドラインを記載する文書も作成をする予定である。
外部への発表、意見交換の場として以下を企画、予定している。
2014年7月に22nd International Input-Output Conferenceでリソースロジスティクス可視化に関わるツールとしてのIO-MFA(Input-Output model based Material Flow Analysis)の特別セッションの企画運営、2014年9月に日本鉄鋼協会秋季講演大会にて、リソースロジスティクスの視点から見た鉄鋼技術イノベーションについてのシンポジウムを企画中である。
2014年10月にEcoBalance2014(つくば、日本)にてライフサイクル視点で見たサプライチェーンリスク管理について、特別セッションの企画運営、ならびに研究発表を行い、その前後に事例研究:ニッケルグループ、事例研究:リングループのワークショップ開催を予定している。なおワークショップには国内外の専門家を招聘し、意見交換、研究ネットワークの構築を進める予定である。
また2014年11月ISIE-SEM section meeting(Melbourne, Australia)にてニッケル、リン、生物多様性の各事例研究グループより研究発表を行うとともに、Sustainable Minerals Institute, University of Queenslandを訪問し、資源利用とそれに関わるリスクの類型化、Mining Responsibilityについて意見交換を行う予定である。
また適宜、リン資源リサイクル推進協議会、リン資源戦略会議、材料戦略委員会の会合に参加しつつ、連携をはかることとする。

外部との連携

研究代表者:松八重 一代 (東北大学大学院工学研究科、准教授)、研究分担者:菊池 隆之助(龍谷大学理工学部・教授)、山末 英嗣(京都大学エネルギー科学研究科・助教)、馬奈木俊介(東北大学大学院環境科学研究科・准教授)、平木 岳人(東北大学大学院工学研究科・助教)、城山英明(東京大学公共政策学連携研究部・教授)、鎗目雅(東京大学大学院新領域創成科学研究科・准教授)、村上進亮(東京大学大学院工学系研究科・准教授)、三島慎一郎(農業環境技術研究所・主任研究員)

備考

当課題は、重点プロジェクト1「国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理」および重点プロジェクト3「地域特性を活かした資源循環システムの構築」にも関連

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
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担当者