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環境保全のための環境政策・制度設計の有効性・あり方に関する基礎的研究(平成 27年度)
Study on the effectiveness of environmental policy and its design

予算区分
ZZ 個別名を記載
研究課題コード
1115ZZ001
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
環境政策,制度設計,有効性
キーワード(英語)
environmental policy, policy design, effectiveness

研究概要

環境問題を解決するために、炭素税や排出量取引制度など、さまざまな政策手段が提案されている。どのような政策にも、望ましい効果と副作用が存在する。このため、これらの政策効果を明らかにするとともに、望ましい政策・制度のあり方を明らかにすることは、持続可能な社会を作り上げていく上で重要な研究課題である。 
 環境政策の実施は、企業や消費者にさまざまなインセンティブを与える。したがって、企業や消費者の行動を低環境負荷的な方向へ誘導するために、企業や消費者のインセンティブの構造を分析する(企業や消費者の意思決定の構造をモデル化)必要があり、それに基づいて、環境政策の有効性(環境負荷を低減させる効果をもつかどうか、その政策が社会的利益を増進するかどうか)を評価する必要がある。
 このような観点から、本研究では、
(1)さまざまな環境政策を対象に、その有効性を理論モデルを用いて明らかにしたうえで、企業や消費者の意思決定をモデル化(定量モデルの構築)し、環境政策の有効性の評価および制度設計に関する基礎的研究を実施する。
(2)さらに、望ましい環境政策・制度設計のあり方を検討する。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

本研究では、さまざまな環境政策・環境問題を対象に、主に、企業や家計の意思決定モデルを構築し、環境政策が企業や家計の意思決定の変化に与える影響を分析し、環境政策の有効性を評価することに主眼を置いている。本研究では、当面以下の研究の実施を予定している。
(1)環境政策が家計行動や企業行動に与える影響の研究(2011〜2015年)
(2)自然エネルギー導入・普及策に関する研究(2011〜2015年)
自然エネルギーの導入・普及を促進するものと期待されている制度として、固定料金買取制度やRPS(Renewables Portfolio Standard)制度などがある。これらの制度が有効かどうかを、経済モデル(理論モデルとシミュレーション分析)を構築し、評価する。また、洋上ウィンドファームの効率的運用を、風車の最適配置を通して考察する。
(3)湿地保全に関する法政策の実効性向上に資する方策に関する分析(2015年度)

今年度の研究概要

今年度は、以下の研究を実施する。
(1)環境政策(特に、環境税)が家計行動や家計負担に与える影響の研究
 1)エネルギー貧困世帯対策制度の評価
エネルギー貧困とは、生活する上での基礎的なエネルギー需要を満たすことができない状態を指す。中でも日本では、所得や消費に占める光熱費の割合が高いという費用負担が問題となる。イギリス政府は、所得の10%以上を光熱費に支出している世帯と定義し、対策を実施している。日本では、このイギリス政府の定義に当てはまる世帯は全体の2.6%に昇ると考えられるが、低所得世帯の増加およびエネルギー価格の高止まりによって、今後エネルギー貧困に陥る世帯は増えるものと考えられる。本研究では、エネルギー価格が2倍になった時の家計への影響を定量評価し、エネルギー貧困世帯がどの程度増加するか?をシミュレーション分析する。また、影響緩和措置(社会福祉料金)の評価を行い、日本におけるエネルギー貧困対策への政策提言を行うことを目的とする。
(2)自然エネルギー導入・普及策に関する研究
 1)洋上風力発電とその蓄電システムとしての揚水発電との効率的な運用システムの構築
(3)湿地保全に関する法政策の実効性向上に資する方策に関する分析
 1)日本国内のラムサール条約登録湿地における国レベル及び地方レベルの法政策の実施状況の調査・課題抽出
 2)主要国における同条約の国内実施の状況に関する調査・比較分析

課題代表者

須賀 伸介

担当者