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高度循環型社会に向けた廃棄物の品質管理技術システムの開発(平成 27年度)
Development of quality control engineering system of wastes towards an advanced sound material-cycle society

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ038
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
廃棄物,品質分類,中間処理,最終処分,数値埋立モデル
キーワード(英語)
waste, quality classification, intermediate treatment, landfill, landfill modeling

研究概要

循環型社会の構築が進むにつれ,処理処分される廃棄物と循環利用される資源の峻別と流動が複雑になり、従来の20品目のみではより高度,適正かつ効率的な廃棄物の循環利用や最終処分場等の維持管理が困難となりつつある。循環利用および処分のために廃棄物の品質を管理する技術システムの導入が急務である。本研究では,高度循環型社会に向けた廃棄物管理戦略を提示するため、廃棄物の資源価値,環境負荷ならびに処理費用に着目して分類を見直し,その品質を制御・管理する,物流管理技術および埋立類型から成る技術システムを構築する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

(1)廃棄物/循環資源の新しい分類体系の構築:廃棄物素材の資源価値,埋立処分後の環境負荷,分離回収・無害化のための費用を整理し,廃棄物/循環資源の新しい分類体系を示す。資源価値は重点研究プロジェクトの成果を利用する。環境負荷は有機物の分解性と生態毒性に着目して,埋立後の長期挙動を模擬する溶出・培養試験系を確立する。費用の評価には基盤研究で検討する廃棄物ストリームデータベースを利用する。
(2)中間処理を拠点とした物流管理技術の開発:中間処理を廃棄物/循環資源の物流拠点と位置づけ,より価値の高い資源を分離回収し,残さを無害化する選別・品質変換技術と,IT技術を利用した廃棄物物流における情報管理技術を開発する。選別・品質技術は,小粒径の夾雑物の混入防止および分離に着目し,搬入物の手選別と比重差の高度化を行う。IT技術を援用し、廃棄物フロー、中間処理技術、循環資源フロー、処理処分施設の位置情報等を総合的に管理するシステムを構築する。また,最適な技術導入を促すため,費用を動因とした産業廃棄物の物流モデルを開発する。
(3)埋立材料の品質に着目した埋立類型の構築と環境負荷低減技術の開発:廃棄物の資源価値、埋立材としての物性および環境負荷を制御因子とし,保管,土地造成,早期安定化を目的とした廃棄物の埋立類型を提示する。想定される埋立廃棄物の安定化挙動に係るパラメータを実験系および現場観測にて評価する。これらを用いて,ヘテロジニアスな場である埋立地において,有機物及び有害物の移動・溶出・分解等の長期挙動を再現する数値埋立モデルを構築し,提案技術をテストすることで,埋立類型の具体的な技術仕様を示す。

今年度の研究概要

(1)カラム溶出試験におけるカラム形状が浸出水濃度に及ぼす影響について、これまでの実験結果を整理すると共に、平衡計算と物質移動を連成させた数値シミュレーションを行うことで現象の再現を試みる。また、固相から液相へと移行する化学物質の移行速度や機構を類型化し、それぞれの移行挙動が浸出水濃度に及ぼす影響について評価する。
(2)これまで実施してきた廃棄物フロー把握手法(中間処理、発生源、最終処分を含む)の他県への援用を継続し、産業廃棄物の物流情報の拡充と精緻化を進めると共に、中間処理技術(機械選別および手選別)の物質フローと制御因子を実験的に求め、建設系廃棄物や災害廃棄物における中間処理技術の最適化へ向けた知見をとりまとめる。
(3)準好気性埋立や海面埋立における汚濁物質の長期溶出挙動の評価に向けて、pH挙動を再現するために平衡計算モデルを既存の数値埋立モデルと連成させ、上述のカラム試験結果との検証を行うと共に、海面最終処分場の内水ポンドにおけるpH低減化機構の再現を試みる。また、海面最終処分場の早期廃止に向けた検討を進め、処分場の沈下等の物理挙動が浸出水濃度に及ぼす影響について明らかにする。

外部との連携

共同研究機関:埼玉県環境科学国際センター、千葉県環境研究センター、神奈川県環境科学センター、北海道大学、京都大学、九州大学、福岡大学、日本工業大学

課題代表者

山田 正人

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 室長(研究)
  • 京都大学博士(工学)
  • 工学,生物工学,化学工学
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担当者