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胎児期・小児期における化学物質の曝露源評価の体系化に関する研究(平成 28年度)
Estimation of exposure factors of soil, dust and personal care products for children and pregnant women.

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-1557
研究課題コード
1517BA006
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
曝露係数,ハウスダスト,土壌,パーソナルケア製品
キーワード(英語)
Exposure factors, House dust, Soil, Personal care products

研究概要

化学物質の胎児期・幼児期の曝露による影響を評価するため、国内外で大規模なコホート調査が実施されており、日本でも環境省事業として10万組の親子を対象とした大規模な疫学調査(エコチル調査)が行われている。エコチル調査では、胎児期から小児期にかけての化学物質曝露をはじめとする環境因子が、子どもの健康と発達に影響を与えるという仮説を検証するために、環境要因、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因などを含め、総合的に調査している。将来エコチル調査の成果として、ある化学物質が子どもの健康に影響を及ぼすことが判明した場合、曝露の低減対策が必要となる。効果的な曝露低減対策を講じるためには、当該化学物質への曝露がどの媒体(曝露源)を経由しているかを明らかにすることが必須である。しかしながら、エコチル調査自体には曝露源解析は計画されておらず、環境省が対策を講じる際には、曝露源を解析・評価するシステムを別途開発することが必ず必要となる。
 曝露原解析には、対象集団(子ども)に適した曝露シナリオの設定と、曝露媒体摂取量(以下曝露係数という)のデータ整備が必須である。曝露シナリオとは、環境・製品中から我々の体内までに入りうる経路であり、曝露係数とは、呼吸率、土壌・ダスト摂食量、製品使用量といった、媒体をどれだけ摂取しているかである。曝露シナリオ、曝露係数は人・国・年齢・季節によって様々である。わが国では「暴露係数ハンドブック」(産業技術総合研究所)が存在するが、限られたデータの中での評価で、不確実性が大きいパラメータも数多い。エコチル調査の成果を最大限に活用するためにも、わが国における曝露シナリオと曝露係数に係るデータ収集と、データの整備が急務である。
 本研究では、曝露シナリオ設定法・曝露係数の定量化手法の開発を行い、胎児期・小児期の化学物質曝露低減対策を講じるための、曝露源評価体系を構築することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

曝露シナリオ設定法・曝露係数の定量化手法の開発を行い、胎児期・小児期の有害化学物質曝露低減対策を講じるための、曝露源評価体系を構築することを目的とする。
 本課題では、我々の生活環境中に遍在し、かつ神経系や生殖系に影響を及ぼす可能性が指摘され、エコチル調査においても検討される、ピレスロイド系農薬と、パラベン類をモデル化合物として、それに関わる曝露係数と曝露シナリオに関する研究(サブテーマ1)、製品使用にともなう化学物質曝露に関する調査(サブテーマ2)、生体試料分析(バイオモニタリング)による曝露評価に基づく曝露係数・曝露シナリオを評価・検証(サブテーマ3)を行うことによって、1つの曝露評価体制の土台をつくる。開発されたシステムは将来他の化学物質への適用が可能である。

今年度の研究概要

(1)幼児の土壌、ハウスダスト摂食量調査の継続
 幼稚園の協力を得て、引き続き調査を実施する。協力者の尿試料中のフタル酸モノエステル分析および曝露媒体試料中のフタル酸エステル分析を実施し、ハウスダスト摂食量を推計する。協力者の大便、土壌、ハウスダスト中の土壌成分分析を行い、土壌摂食量の推計を行う。
(2)パーソナルケア製品使用量調査
 平成27年度に実施したパーソナルケア製品使用量の実態調査の結果に基づき、大規模調査に適用する簡易質問票・ツールを開発する。さらに実測調査と簡易質問票による調査において、質問票のバリデーションを行う。

外部との連携

東洋大学、名古屋市立大学、名古屋大学

課題代表者

高木 麻衣

  • 環境リスク・健康領域
    曝露動態研究室
  • 主任研究員
  • 環境学博士
  • 化学,医学,農学
portrait

担当者