- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1518CD007
- 開始/終了年度
- 2015~2018年
- キーワード(日本語)
- エアロゾル,光化学的エイジング,クリーギー
- キーワード(英語)
- Aerosol,Photochemical aging,Criegee
研究概要
大気エアロゾルは、光化学的酸化を受けて常に変質し続けている。この光化学的「エイジング」過程の解明は、大気においてエアロゾルが果たしている役割を正しく理解する上で特に重要である。しかし、従来の室内実験研究では光化学的エイジング機構の理解はほとんど進んでこなかった。これは、空気—大気エアロゾルの境界相(界面)で起こるラジカル反応を直接に“その場”測定できる手法がなかったのが一因である。本研究では新規質量分析法とレーザーを応用した画期的な実験手法を用いて、従来の手法では明らかに出来なかったヒドロキシルラジカル(OHラジカル)やクリーギー中間体による大気エアロゾルの不均一酸化過程の機構を分子レベルで解明する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
新規実験手法を用いて、空気—大気エアロゾル(有機エアロゾル、植物起源エアロゾル、海洋エアロゾルなど)の気液界面で起こるラジカル反応のメカニズムを明らかにする。2016年度は汚染大気におけるエアロゾルの主成分の一つである安息香酸(液)と気体のOHラジカルの不均一反応を、質量分析計にYAGレーザーを加えた独自の実験手法を用いて調べる。汚染大気中の有機エアロゾルのOHラジカルによる光化学的エイジングの初期過程の分子レベルでの解明を目指す。2017年度、2018年度はクリーギー中間体が関与する気液界面反応機構の研究を行う。大気エアロゾルの光化学的エイジングの初期過程の分子レベルでの解明を目指す。
今年度の研究概要
「大気エアロゾルの光化学的エイジング過程の分子レベルでの解明に向けた研究」において、空気—エアロゾルの気液界面で起こるラジカル反応のメカニズムを明らかにする。具体的には新規質量分析手法を用いてエアロゾルの気液界面に生成するクリーギー中間体とカルボン酸、アルコール、過酸化物などの反応を系統的に調べる。対流圏の凝縮相で起こるクリーギー化学の総括的な理解を目指す。
外部との連携
カリフォルニア工科大学のMichael Hoffmann教授、A.J. Colussi博士と共同研究を行う。
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