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炭素循環の気候応答解明を目指した大気中酸素・二酸化炭素同位体の統合的観測研究(平成 29年度)
Integrated observational study of oxygen and isotopes of carbon dioxide in the atmosphere to investigate the climate responses of the global carbon cycle

予算区分
BB 環境-地球一括
研究課題コード
1418BB001
開始/終了年度
2014~2018年
キーワード(日本語)
酸素,二酸化炭素,同位体,放射性炭素
キーワード(英語)
oxygen,carbon dioxide,isotope,radiocarbon

研究概要

全球的な炭素循環を解明するために、大気中二酸化炭素の放射性同位体や安定同位体、さらに、酸素濃度の包括的広域観測を行う。観測には太平洋上を運行する定期貨物船や北太平洋を東西に横断する地上モニタリングステーションを活用する。また、炭素循環の推定精度向上に寄与する海洋表層の放射性同位体や安定同位体の観測を実施する。放射性炭素の観測から化石燃料起源二酸化炭素の寄与率を、また、安定炭素同位体や酸素の観測から陸域生物圏および海洋の炭素吸収量の時間変化を、さらに、二酸化炭素と酸素の和として定義される大気ポテンシャル酸素(APO)の観測から大気−海洋間のガス交換の時間・空間的な変動を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

北太平洋域に点在する地上モニタリングステーション、および、西部および北部太平洋上を定期運航する貨物船を利用して大気試料のフラスコサンプリングを実施し、CO2の安定同位体(13C, 18O)や放射性同位体(14C)、さらに、大気中酸素濃度の広域観測を継続する。また、同海域において表層海水のサンプリングを実施し、溶存無機炭酸の炭素同位体の広域観測を継続する。さらに、波照間・落石ステーション、および、日本−オセアニア間を航行する貨物船において大気中酸素濃度の連続観測を実施する。波照間ステーションにおいてはイベントサンプリングシステムを用いた汚染空気の採取と、汚染時のCO214Cの測定を継続する。さらに、落石ステーションにも同様のイベントサンプリングシステムを新たに設置し、イベントサンプリングを実施する。得られたデータを統合し解析することで、陸上生物圏および海洋のCO2吸収量のその長期的変化傾向を検出し、気候変動との関係を解明する。

今年度の研究概要

引き続き、地上ステーションおよび北米・オセアニア・東南アジア航路を運航する貨物船を利用し大気試料のフラスコサンプリングを実施し、CO2同位体比およびO2濃度の観測を継続する。また、地上ステーション・オセアニア航路、さらに2015年12月より開始した北米航路におけるO2濃度の連続観測を継続する。これらの観測結果を総合的に解析することで、グローバルな炭素収支の変化や大気−海洋間のガス交換の年々変動等を調べる。また、波照間・落石ステーションに設置したイベントサンプリングシステムを用いてCO2の高濃度イベント時の大気試料採取を継続し、化石燃料燃焼や陸上生物圏から放出されるCO2が大気14CO2の変動に与える影響を評価する。北米航路・オセアニア航路においては海水試料の採取を継続し、溶存無機炭酸の13C・14Cの広域観測を継続し、各海域における大気-海洋間のCO2交換の経年・季節変動の解明を試みる。

課題代表者

遠嶋 康徳

  • 地球システム領域
    動態化学研究室
  • 室長(研究)
  • 理学博士
  • 化学
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担当者