- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1717CD004
- 開始/終了年度
- 2017~2017年
- キーワード(日本語)
- 微小粒子状物質,急性心筋梗塞
- キーワード(英語)
- fine particualte matter,acute myocardial infarction
研究概要
本研究の目的は、粒子状物質である黄砂やPM2.5 の観測データをもとにその汚染状況を確認し、急性心筋梗塞や院外における心臓由来(心原性)の心停止発症との関係について検討を行い、粒子状物質が人体に及ぼす短期暴露に関する影響を明らかにすることである。どのような患者層が粒子状物質の影響を受けて急性心筋梗塞や心原性心停止を発症しやすいのかも検討していき、最終的に心疾患発症に対する粒子状物質濃度のカットオフ値があるかどうか疫学的考察ができるような知見の提供を目指す。また、黄砂やPM2.5 それぞれの構成成分を分析し、病態に強く関与する物質を見いだし、発症機序の解明を目指す。環境データは、国立環境研究所の環境数値データベースとして整備しているものや実際に測定するデータを利用する。アウトカムデータは、熊本急性冠症候群研究会が運用している熊本県内の患者登録データベースや総務省消防庁によるウツタインデータを利用する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
本研究の目的は、粒子状物質である黄砂や PM2.5 の観測データをもとにその汚染状況を確認し、急性心筋梗塞や院外における心臓由来(心原性)の心停止発症との関連について統計学的評価を行い、粒子状物質が人体に及ぼす短期暴露に関する影響を明らかにすることである。さらにどのような患者層が粒子状物質の影響を受けて急性心筋梗塞や心原性心停止を発症しやすいのかを見いだし、疾患発症に対する粒子状物質濃度のカットオフ値の有無を検証することである。また黄砂や PM2.5 それぞれの構成成分を分析し、病態に強く関与する物質を見いだし、発症のメカニズムを考察し、また発生源対策に結びつけることである。
平成 29年度は、急性心筋梗塞全症例や院外心原性心停止データを収集するとともに、環境データの 観測日や観測地点をキーとして、疾患データと環境データを統合したデータベースを構築する。その後、疫学統計解析方法の検討を行う。平成 30年度は黄砂や PM2.5 それぞれの化学組成について詳細に分析し、化学組成と疾患発症との関連について解析結果に基づき、病態発症のメカニズムを検討する。最終平成 31年度はこれまでの結果を総括し、学会発表ならびに論文化を進めていく。
今年度の研究概要
平成 29 年度は疫学統計解析データベースの作成が主で、その後に統計解析法の検証を進める。 分担者は環境データの収集を行い、疫学研究で使用できるように加工する(日平均値にまとめるなど)。研究代表者等が収集した熊本県内で発症した急性心筋梗塞全症例のデータや院外心原性心停止データといったアウトカムデータを受け取り、環境データと突合し疫学統計解析用のデータベースを構築する。データベースが構築された後、PM2.5と急性心筋梗塞や心原性心停止との関連を時間層別化ケースクロスオ−バーデザインを用いて検討していく。
外部との連携
研究代表者 小島淳・熊本大学・大学院生命科学研究部心不全先進医療共同研究講座・特任准教授