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原子力事故データの総合解析による事故時の有害物質大気中動態評価法の高度化(平成 30年度)
Improvement of Assessment Methods for Atmospheric Behavior of Hazardous Materials by Comprehensively Analyzing Nuclear Accident Data

予算区分
BE 環境-推進費(補助金)
研究課題コード
1820BE001
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
放射性セシウム,放射性ヨウ素,大気輸送沈着モデル
キーワード(英語)
Radiocesium, Radioiodine, Atmospheric Transport Deposition Model

研究概要

本研究は、1)1F事故大気中濃度データの整備と解析【主にサブテーマ2,3】、2)放出源情報推定法の改良【同4】、3)気象場再現法及び大気拡散数値モデルの高度化【同5,6】と、4)大気中濃度解析結果を参照データとするモデル比較試験及び防災利用法プロトタイプ構築【同1】から構成される。国立環境研究所はサブテーマ6を担当する。
1) 1F事故大気中濃度データの整備では、先行研究による大気環境測定局の浮遊粒子状物質(SPM)計ろ紙で未分析である約80%の測定局の試料の中で、1F事故プルーム解析で重要な関東地方と遠方地点等についてガンマ線スペクロメトリによるCs-134、137濃度分析を行う。3年間で概略80地点を対象として、試料分析の割合を現在の約25%から約40%にし、主要プルームの動態が十分把握できるようにする。また、事故初期の大気中濃度や地表沈着量、空間線量率の測定結果等から実測値に基づく総合的なプルーム動態解析を行う。
2) 放出源情報推定法の構築では、1F事故対象の既存研究で異なるデータ種類(大気中濃度、沈着量、線量率等)と幅広い空間スケール(10km程度から半球規模)より得られた放出率には相互に大きな差があるという課題に対し、1)で得られる大気中濃度と既存研究により幅広い空間スケールで得られた大気中濃度を基礎情報とする放出源情報推定の実現のために、ベイズ統計を採用して推定法を改良する。これにより、1F事故のCs-134、137及びI-131放出源情報を高精度化する。
3) 気象場再現法および大気拡散数値モデルの高度化では、水平数100km程度の範囲(メソスケール)を主対象として、湿性及び乾性沈着過程等のモデルの再検討により計算の高精度化を図る。特に、点状放出に対して従来の拡散・沈着モデルで十分考慮されていなかった粒子化過程等のモデル化も対象とする。また、拡散過程の再現では、地形・海陸分布から影響を受けた風速場・乱流場の高精度な再現が不可欠であるため、地上気象観測のデータ同化によるメソスケール気象場の詳細再現を目指す。
4) モデル比較試験では、1)で行う1Fデータによるプルーム動態解析結果を対象とした比較検証試験を研究組織外からの参加も勧誘して実施し、モデル高度化の達成度及び不確かさの評価を行う。また、放出源情報推定と大気拡散計算を組み合わせ、不確かさ提示も含めた防災利用法のプロトタイプを提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究課題のサブテーマ6は、下記の計画を立てている。
・2018年度:濃度、沈着量の既存測定データを用いた大気拡散モデルの検証により、現状モデルの問題点を整理し、比較試験に評価結果を提供する。
・2019年度:開発予定のモジュールの概念検討を行う。次年度には、点源モデルの高度化モジュールと放射性ヨウ素の粒子化モジュールを作成し、本サブテーマの大気拡散モデルへ導入してモデルを高度化する。また、高度化情報を他モデルに提供する。
・2020年度:サブテーマ5の詳細気象場を利用して前年度の高度化大気拡散モデルによる感度解析等を行い、不確かさのパラメータ依存性を解析し、サブテーマ1での防災利用法の検討に役立てる。

今年度の研究概要

濃度、沈着量の既存測定データを用いた大気拡散モデルの検証により、現状モデルの問題点を整理し、比較試験に評価結果を提供する。次年度開発予定のモジュールの概念検討を行う。

課題代表者

五藤 大輔

  • 地域環境保全領域
    大気モデリング研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(理学)
  • 化学,物理学
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担当者

  • 森野 悠地域環境保全領域
  • 大原 利眞