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大規模エネルギー転換国が資源採掘国へ強いる環境的犠牲に関する長期予測モデルの開発(令和 2年度)
Environmental impacts in mining countries induced by global energy transitions

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1920CD005
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
物質フロー,気候変動
キーワード(英語)
Material flow, Climate change

研究概要

 気候変動緩和に向けた大規模なエネルギー転換は、その技術に必須な資源の需給構造変化と国際貿易を介し、資源採掘国に種々の環境的被害を誘引するとの予測がある。しかしその予測には、どの国のエネルギー転換がいかなる資源国の環境的犠牲の基に成立しうるのか、という“空間的利害関係”の視点が欠けている。その為、大規模エネルギー転換の実施可能国(高所得国)と環境的被害国(低所得国)との協働の機会が醸成されない。本研究では、動学エネルギー・資源統合モデルを開発し、IPCCの1.5℃目標を実現するエネルギー転換がもたらす将来の国際資源フローを推定し、それに伴う環境的被害を国別に定量化することを目的とする。そして、2050年までの大規模エネルギー転換により生じる空間的利害関係の変化を解明する。研究成果は、空間的利害の縮小に資する貿易補助金制度やフェアトレード等の枠組みの構築に科学的根拠を提供し、公正な国際エネルギー政策の創造を支援する。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:

全体計画

 本研究はシステム分析を基礎とする?から?の課題を実施することで上述の目的を達成する。なお、大規模エネルギー転換の実施国として、経済的・技術的優位性を鑑み,高所得国を対象とする。一方、資源採掘国には,環境的被害に対する脆弱性に注目し、低所得国に着目して分析を行う。

?工学型エネルギーモデル(技術選択モデル)による長期エネルギーシナリオの構築
 まず、工学型エネルギーモデルを応用し、気候変動の目標である「2℃目標」および「1.5℃目標」を達成する2050年までのエネルギーシナリオを構築する。工学型エネルギーモデルとは、エネルギー供給に係わる多様な技術の工学プロセスを詳細に積み上げてエネルギーシステム全体を記述するモデルである。シナリオ構築の対象国は、日本、米国、欧州連合、豪州およびロシア連邦とする。

?動的マテリアルフロー分析モデルとの接続による資源需要動態の推定
 ?において出力される発電技術構成や自動車種構成を動的マテリアルフロー分析モデル(D-MFAモデル)に入力し、エネルギー転換と整合する資源需要動態を時系列で予測する。申請者の既研究の成果に基づき、需要動態変化および潜在的環境影響が顕著であった8鉱種(Fe, Cu, Ni, Ag, Li, Co, Nd, Pt)を対象金属とする。

?多地域間産業連関分析モデルへの将来国際資源フローの組み込み
 ?において推計される2050年までの資源需要動態を多地域間産業連関モデル(MRIO)に反映させ、対象国の将来資源需要がいかなる国の資源採掘を誘引するかを推定する。現在、利用可能なMRIOは過去のある一時点での国際的取引を記述するものであるため、本研究では将来の国際資源フローを推計してMRIOに組み込み、この問題を対処する。

?空間的情報との融合による国際資源フローが誘引する環境的被害の予測
 最後に、?で推定した国別の資源採掘量を土地改変量、生物多様性損失リスクに変換し、
高所得国の大規模エネルギー転換が国際資源フローを介して低所得国にもたらす環境的被害の大きさを定量化し,その量や構造の変化を2050年まで詳細に解析する。

今年度の研究概要

 今年度は数理モデルおよびデータの精緻化を実施することで、解析結果の国際政策・戦略反映を目指す。具体的には、本年度の解析によって明らかになった資源消費国と生産国の空間的乖離縮小に資する循環経済戦略や資源ガバナンス強化策の提案を行う。

課題代表者

渡 卓磨

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 研究員
  • 修士(エネルギー科学)
  • システム工学,機械工学
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