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気候政策とSDGsの同時達成における水環境のシナジーとトレードオフ(令和 2年度)
Water environment synergies and trade-offs in simultaneous achievement of climate target and SDGs

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2-2005
研究課題コード
2022BA008
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
水資源
キーワード(英語)
Water resources

研究概要

気候安定化や持続可能な開発に向けた目標が、それぞれパリ協定、持続可能な開発のための2030 アジェンダとしてどちらも2015 年に国際合意された。また、今後見込まれる気候変動影響に対応するため、我が国でも気候変動適応計画が閣議決定されている。気候安定化に向けた緩和策と適応策の実施と持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みとの間には大きなシナジーが期待されているが、トレードオフも懸念されている。しかしながら最初の包括的な分析は2018 年に発行されたIPCC1.5 度特別報告書の第5 章で実施されたが、概念的な検討にとどまっていた。また、2019 年に発行されたIPCC 土地関係特別報告書では強力な緩和策としてバイオ燃料の大量生産について同種の検討がされたが、やはり定性的かつマクロな検討に留まっていた。定量的かつ地域詳細なシナジーとトレードオフの検討が必要である。また、気候安定化目標とSDGs の検討において、死活的に重要な水環境が軽視されてきたという問題がある。気候政策の検討には、AIM のような統合評価モデルと呼ばれるエネルギー経済モデルが中心として用いられてきた。この結果、エネルギーと経済の観点からは高い整合性が認められるものの、市場取引のない水資源については無尽蔵にあると仮定されたり、定常性が仮定されて旱魃や洪水の考慮が不足していた。同様に、SDGs も水の量的・質的制約や水環境の負荷が熟慮されたうえで設定されていない。そこで本研究は、水災害、水熱質循環、水資源、食糧生産に着目し、世界的にも高い評価を得る全球水環境モデル群を活用することで、実施の際の水の量的・質的制約や洪水・旱魃などの災害発生の可能性を考慮しつつ、気候目標とSDGs のシナジーとトレードオフを定量的かつ地域詳細に整理し、同時達成の可能性を評価する。また、同時達成が難しい課題や地域を特定・抽出し、解決策の検討を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

本課題では水環境に着目し、気候目標とSDGs を同時に達成する際に生じうるシナジーとトレードオフについて定量的に整理し、水に関係するSDGs と気候目標の同時達成の可能性を地域ごとに評価する。具体的には、まず、水環境に関連する1)水災害、2)水熱質循環、3)水資源、4)食糧生産、の4 つのサブテーマごとに、グローバルなシミュレーションを複数の気候シナリオと社会経済シナリオで実施する。次に、複数の気候シナリオごとおよび適応の有無ごとに、SDG1 貧困(サブテーマ3)、SDG2 飢餓(サブテーマ4)、SDG3 健康(サブテーマ2、4)、SDG6 水供給(サブテーマ3)、SDG7 エネルギー(サブテーマ2、3)、SDG11 都市の中の、SDG11.5 防災(サブテーマ1)の6 目標についての達成の可能性を評価し、地域ごとに表の形で整理する。

今年度の研究概要

水力発電、バイオ燃料生産に着目したSDG7関連の分析を行う。2 度(1.5 度)目標の達成にあたり、世界全体の水力発電の大幅な増加や、バイオ燃料の増産が前提になっている研究が散見される。前者に関しては、非現実的な水力発電の開発が前提となっていないかという軸から検討を行う。後者については、バイオ燃料増産により水循環の変化や灌漑需要の増加につながることがないかという軸などから詳細な検討を行う。

外部との連携

本課題は芝浦工業大学・東京大学・農研機構との共同研究である。

関連する研究課題

課題代表者

花崎 直太

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響評価研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 土木工学
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担当者