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沖縄県のサンゴ礁生態系への気候変動・地域環境複合影響を軽減するための赤土流出削減指標策定(令和 3年度)
Establishing index of the red-soil runoff reduction in Okinawa Prefecture to reduce combined impacts of climate changes and local environmental loads on coral reef ecosystems

予算区分
地環研共同研究(適応支援)
研究課題コード
2124ZZ001
開始/終了年度
2021~2024年
キーワード(日本語)
サンゴ礁生態系,陸域負荷,気候変動適応
キーワード(英語)
coral reef ecosystem,terrestrial load,climate change adaptation

研究概要

サンゴ礁は、現在、地球規模のストレス(海水温上昇による白化、海洋酸性化による石灰化阻害など)と、地域規模のストレス(赤土等流入、水質汚濁など)により急激に衰退していることが指摘されており、対策が急務となっている。

沖縄県及び沖縄県衛生環境研究所は、20年以上にわたり赤土堆積量とサンゴや海藻に加え、底生動物群集の分布のモニタリングを継続してきた。また、平成25年には沖縄県赤土等流出防止対策基本計画を定め、監視地域において環境保全目標を定め、赤土等流出・堆積の調査やモニタリングを行っている。本課題ではこれらのモニタリングの成果をデータベース化しつつ統計解析や現場検証および野外実験を行うことにより、赤土堆積量等の削減とサンゴ、海藻、底生動物群集の生息量の関係、生物間の相互作用を明らかにし、底生生物群集の存続性を維持するために必要な赤土等流出削減目標や削減効果を明らかにする。

本研究の成果や考え方は、沖縄県における赤土流出防止対策におけるこれまでの赤土削減の効果測定及び2022年度に更新される予定の沖縄県赤土等流出防止対策基本計画における指標の策定に貢献するものである。さらに、環境省が今年度定める予定のサンゴ礁生態系保全行動計画改訂版における、「陸域に由来する赤土等の土砂及び栄養塩等への対策の推進」に関する目標設定の議論への貢献と、環境省自然環境局が2015年に提示した生物多様性分野における気候変動への適応についての基本的考え方における「気候変動以外のストレス低減」の観点から、国のサンゴ礁生態系保全及び自然生態系分野の気候変動適応にも貢献するものである。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

研究期間は、2021年10月〜2024年9月の3ヶ年とする。
まず、研究期間を通じて、沖縄県衛生環境研究所と国立環境研究所はこれまでの事業で未整備の、重点調査期間以前の紙ベースのモニタリング調査資料について、デジタル化・データベース化・生物多様性データベースの標準的フォーマットへの変換作業を進める。また、国立環境研究所は、これまで整備したモニタリングデータベースを活用するとともに、サンゴ礁生態系保全行動計画のプラットフォーム及び気候変動適応情報プラットフォームとの連携を検討する。

今年度の研究概要

両研究所がこれまでの事業で整備した重点調査期間のモニタリングデータベースを用い、各地点におけるサンゴ礁生物群集の増加・減少傾向を検出しパターン分けを行う。さらに水温変動のもとでの赤土流出のサンゴ礁生物群集への影響について、統計解析等の解析方法を検討し試行する。さらに衛生環境研究所は、より広範囲の赤土流出影響を計測するため、現地直接観察の赤土調査とドローンによる調査を組み合わせた試行調査、および底生生物への赤土堆積影響を検証する野外実験・計測機器による連続観察を毎月行う。また、2022年度に改定の赤土流出防止基本計画に向けて、赤土流出量を推定する時系列モデルを国立環境研究所が作成する。

外部との連携

沖縄県衛生環境研究所 環境科学班

関連する研究課題

課題代表者

熊谷 直喜

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,理学
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担当者