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人新世の新しいサンゴ礁保全:浅場-深場間の鉛直群集構造、機能と将来予測(令和 3年度)
Novel coral reef conservation in the Anthropocene: community structure, function and future projection from shallow to deep habitats

予算区分
基盤研究(A)
研究課題コード
2124CD005
開始/終了年度
2021~2024年
キーワード(日本語)
サンゴ礁生態系,気候変動,保全生態学
キーワード(英語)
coral reef ecosystem,climate change ,conservation ecology

研究概要

人新世においてサンゴ礁が急激に衰退する中で、サンゴのレフュジア(避難地)を特定し その機能を評価することは重要である。現在、サンゴが温帯域をレフュジアとして分布域 を拡大している。環境勾配のある深度方向にもレフュジアが存在し、サンゴが生き残る可 能性があるが、「海洋温暖化により、サンゴの分布域は鉛直方向にどのように変化するか ?」はわかっていない。分布域の変化を証明するには、サンゴ群集構造を定量的に把握し て浅場—深場の双方向の関係性を明らかにし、将来変化を予測する必要がある。本研究で は、琉球諸島において1)鉛直的なサンゴ多様性/分布、撹乱状況、および物理環境を調べ 、サンゴ成体と幼体の2)深度方向への適応性を野外移植・室内実験で明らかにし、3)鉛 直的な遺伝類似性の強弱をゲノムワイドに解析する。さらに1-3の関連を解析し、4)サ ンゴ群集の鉛直構造を推定する複合的統計モデルを構築し、高解像度の3次元将来気候値 を適用し、サンゴ群集の鉛直構造の将来変化を予測する。本成果は鉛直構造を考慮した新 しい視点からサンゴ礁の保全や気候変動適応策に貢献する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

サンゴの分布には基盤となる海底面の礁斜面地形と物理環 境が重要である。そこで海底地形(勾配、閉鎖性等)を考慮してサンゴ礁を類型化すると ともに、風上・風下条件や水温、光量、海水流動場(流向流􏰷)の連続測定を行い、生息 環境の違いを明らかにする。
他サブテーマの研究から得られた生物・環境データを整理し、浅場から深場のサンゴ群集と物理環境、撹乱影響 (台風や白化等)を統計モデルを用いて統 合し、サンゴ群集構􏰶の特徴を可視化するとともに、サンゴ群集の鉛直構􏰶の推定 および将来の群集構􏰶の変化予測を行う。以上より深場と浅場の双方向の関係と将来予測を明らかにし、海洋温暖化で鉛直的に分布が変化するかを検討する。

今年度の研究概要

既存の文献情報を整理し、一括で解析できるように統一的なデータ形式でデータベースを構築する。またリモートセンシング観測データや海洋モデル・将来気候モデル出力値の取得・整備を進める。

外部との連携

琉球大学熱帯生物圏研究センター 准教授 波利井 佐紀 (研究代表者)
宮崎大学農学部 准教授 安田 仁奈 (研究分担者)

課題代表者

熊谷 直喜

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,理学
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担当者